日野自動車(以下、日野)(日野市日野台3)が5月30日、三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱)(神奈川県川崎市)と経営統合に向けた基本合意書を締結したと発表した。
2019年に行われた「東京モーターショー」にも出展するなどさまざまな活動を行っていた日野自動車
今回は日野の親会社であるトヨタ自動車(愛知県豊田市)、三菱の親会社である独・ダイムラートラックも含めた4社間で基本合意を行った。今回の基本合意書は法的拘束力を持たないもので、今後、2024年3月の最終契約締結、同年12月末までの経営統合実施に向け、4社間で法的拘束力のある契約の締結を目指した協議を進める。
経営統合に当たっては、日野と三菱は両社で持株会社を設立し、同社の完全子会社となる方針。経営統合の統合比率は現時点では確定していない。トヨタ自動車とダイムラートラックは持株会社の株式を同じ割合で保有する。これにより、トヨタは日野の親会社ではなくなる見込み。2024年3月期以降の業績に与える影響については「現在精査中」としている。
今回の経営統合について、カーボンニュートラルや物流の効率化などの課題に対して、「商用車は乗用車に比べて台数も少なく、日本市場で商用車メーカー各社が単独で対応するのは大変難しい状況」と説明。両社が一緒になることで、「開発・生産など事業効率を上げ、日本の商用車メーカーの競争力を磨くことで、日本・アジアの自動車産業の基盤を守り、お客さま、ステークホルダー、そして日本の自動車産業に貢献していく」とも。
日野自動車は、1910(明治43)年に「東京瓦斯工業」として創業し、1942(昭和17)年に「日野重工業」として分離独立した。現在はトラックやバスなど商用車メーカーとして日野市内に本社を置く。今年3月現在、連結で約3万4,000人が働き、世界90カ国で展開している。
4月26日には今年3月期の決算短信を発表し、売上高が2022年3月期の約1兆4,600円から約1兆5,000億円と約3%増えたものの、営業利益は約338億円から約174億円と約49%減少、経常利益も約380億円から約158億円と約59%減ったことを明らかにしていた。世界的な半導体不足や新型コロナウイルスの影響などに加え、同社エンジンの認証不正問題の影響で、特に国内でトラックやバスの需要が減少したという。2024年3月期の通期業績予想は、売上高=1兆7,000億円、営業利益=200億円、経常利益=150億円。