今秋行われる「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」参戦に向け、工学院大学「ソーラーチーム」監督で機械システム工学科の濱根洋人教授が8月29日、「Bridgestone Solar Car Summit(ブリヂストン・ソーラーカー・サミット) 2023」 に出席した。
ブリヂストン(中央区)の拠点の一つである「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン・イノベーションパーク)」(小平市)で行われた同イベント。「BWSC」の開催を前に同社や関連企業、日本から同大会に出場するチームの監督が出席し、大会の展望などについて語った。
濱根さんは同じく「BWSC」に参戦する「東海大学ソーラーカーチーム」監督の木村英樹教授らと共にクロストークイベントに参加した。
工学院大学「ソーラーチーム」は7月5日、今大会の参戦車両である新型ソーラーカー「Koga(コーガ)」を発表。5度目の参戦となる今回は「チャレンジャークラス」に出場する。
1990(平成2)年に行われた同大会のTシャツを着て出席した濱根さんは、「この時に優勝したチームは時速60キロで完走した。それから時速は約30キロ上がるなど、この33年間で相当変わった。技術はすごく発展している。学生はそれを追い越す勉強が必要なので大変」と話す。
コロナ禍を経て、2019(平成31)年以来、4年ぶりの開催となる今回は、2017(平成29)年・2019年の大会では認められた化合物系太陽電池の使用が禁止となったほか、3輪の車両も認めるなどレギュレーションが変更された。
今大会について、「F1よりも先に開発された技術を試すなど、『極めて』と表現したほうがいいモータースポーツになる。学生が一生懸命アイデアを出してきたので、東海大学と共に日本代表として頑張っていきたい」と濱根さん。「学生たちにはたまっているものがあるのか、非常にチームワークも良く、明るいチームになっている」とも。
日常的にソーラーカーが使われるようになるかについて濱根さんは「私は現実主義なので難しいと思う。過疎化したところで薬を運ぶロボットに太陽電池を貼るとか、都市部にロースピードレーンを作るとかビジネスモデルと合わせればすぐに作ることはできる。ただ、1トン、2トンといった重さの車をソーラーパネルだけで長距離を走らせるとなると、出力を1キロワット程度しか出せない中では非現実的?」と話す。木村さんも「科学者の立場としては『やれる』と言いたくなるが、ハードルは高い。当面はカーポートの上に太陽電池があり、それで電気自動車を充電するといったことが実際の形になるのでは」と同意した。
「BWSC」はオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレース。同チームは2013(平成25)年の初参戦以来、2015(平成27)年・2017年・2019年の大会に出場した。今大会は10月22日~29日の日程で行われる予定。