八王子市内にある名山となる山の候補を募る「あなたが選ぶ『八王子の名山』」が現在、行われている。

候補の応募を呼びかけるチラシ

　市民有志による「TOKYO八王子名山選定プロジェクト」が始めた今回の企画。市内にある思い入れのある山を推薦してもらい、名山として定めようと11月1日から始めた。

　今回の名山の候補は、眺望や山の形に個性があるもの、川の源流に当たる山、原生林がある山などのほか、「郷土の生活や文化、歴史にゆかりがある」「動植物や昆虫の生息」「地質に特徴がある」「登山道などの人跡が少なく、自然度が高い」なども選ぶ基準の例に挙げている。応募は誰でもでき、同プロジェクトのウェブサイトで受け付けている。

　「全国山の日協議会」（新宿区）が、8月11日の「山の日」に合わせて行っている「『山の日』全国大会」が、2024年は「東京全体」を会場として行われることから、同プロジェクトは大会の開催に向け、八王子の名山を決めようと今年の「山の日」に始動した。

　同プロジェクトの発起人で、選定委員も務める「八王子山の会」の佐野聖文会長は「ご当地名山は各地にあるが、山梨県甲府市に『甲府名山』が25座あるのを見て、八王子にも似たようなところがあると思っていた。来年、山の日の大会が東京で開かれるということで、山の日にふさわしい何かができないかと動き出した」と話す。

　名山として何座選ぶか、どのような基準で選定するかなどはまだ詳細には決めていないという。「ハイキングのガイドからは外れてしまっている部分もあり、道がなくてもしっかりとした山があったり、逆に頂上の場所が大学や病院になったりしているところもある。湯の花トンネルなど第2次世界対戦の傷跡になっている所もある。皆さんが『夕方の山並み』と思っている所もどの山なのか説明できたら、関心を持って見てもらえるかもしれない。自然保護にもつながっていけばいい。50年、100年と残るものを決める覚悟でやっていきたい」と佐野さん。

　高尾山が2007（平成19）年から旅行ガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で3つ星の観光地として取り上げられ、1年間の登山者が300万人ともいわれるオーバーツーリズムの状態にあることから、高尾山以外の八王子にある山にも目を向けてもらおうという意味も込める。

　同プロジェクトに関わる、コワーキングスペース「8Beat（エイトビート）」（八王子市三崎町）の小柳次郎代表は「八王子らしさを山という形で表していこうというチャレンジ。多摩地区の中でも八王子の特徴は山岳地帯がしっかりあること。ただ、八王子といえば高尾山というのが代名詞になっていて、実際にそれでプロモーションをしているところもある。私たちが数えただけでも100以上の『山』と付く高まりがあり、高尾山以外に普通に登れるところも数十カ所ある。景色がいい所もあるし、登って楽しい所もある。もうちょっと地域の特徴である山岳地帯に目を向けてほしいという思いがある。選ぶのに値する山を選んで、ちゃんと説明を付けて広めたい」と話す。

　応募受け付けは2024年1月31日まで。