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工学院大学ソーラーチームが世界大会参戦報告会 豪大陸縦断達成で

参戦報告会を行った「工学院大学ソーラーチーム」

参戦報告会を行った「工学院大学ソーラーチーム」

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 工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」が12月12日、オーストラリア大陸をソーラーカーで縦断した「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」の参戦報告会を同大新宿キャンパス(新宿区)で行った。

報告会に臨む中川さん、ケンジさんと濱根監督

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 「BWSC」はオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレース。コロナ禍を経て4年ぶりの開催となった今回は、10月22日~29日の日程で行われ、同チームは新型ソーラーカー「Koga(コーガ)」で「チャレンジャークラス」に出場した。

 今回の報告会には、監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授、チームリーダーで工学部機械システム工学科3年の中川立土さん、機械班のケンジ・グティエレス・ヒメネスさんが出席したほか、チームメンバーも駆けつけた。

 スタート前からさまざまなトラブルに見舞われた同チーム。ソーラーカーなどの荷物は当初、自動車運搬船を使ってオーストラリアまで送る予定だったが、検疫の遅延などの影響から船が運行しなくなってしまったことを受け、出発直前になってコンテナ船での輸送に切り替えた。これに伴い、ゴールであるアデレードに到着する予定だった荷物は約1000キロ離れたメルボルンに到着し、ここでも検疫の影響を受け、大会直前になっても荷受けできない事態に陥った。

 車検が始まる2日前までスタート地点であるダーウィンに荷物が届かなかったことから、大会側に依頼し車検を受ける順番をずらしてもらうなど対応した。当初予定していた公道での練習も取りやめるなど、レースにはぶっつけ本番で挑むことになった。ソーラーカーに前輪と後輪の中心の長さである「ホイールベース」を変えられる機構が備わっていたことが大会側と議論になり、車検も繰り返し受けることになるなど出発直前まで気が抜けない状況が続いた。

 ケンジさんは「『君たちの車は1台でも2台分の車両だ』と認識された。車検も予選もほかのチームの倍やることになった。アイデアはすばらしいが次回大会からは禁止になるそうだ。大会のレギュレーションを変えられるようなアイデアを出せたことはうれしく感じる」と話す。

 現地時間の10月22日7時にダーウィンを出発したが、大会初日から太陽電池パネルによる発電にトラブルが起こった。発電量が予定の半分以下となり、バッテリーも空になる状態での走行を余儀なくされた。毎日、レース終了後にメンテナンスを行ったが改善することはなく、大会期間中はこのトラブルを抱えたままでのレースとなった。「大会のルールで決められている最低速度の時速60キロで走るしかなかった。その60キロ以下になったらリタイアになる。日本に車両が戻ってきたら原因を徹底的に探していきたい」とケンジさん。ゴール地点であるアデレードには現地時間の10月27日14時に到着。最終順位はクラス8位だった。

 中川さんは今大会を振り返り、「オーストラリアという過酷な環境の中で最先端技術を試し、エンジニアリングを楽しむことができた。レース中の日本からの声援は心強かった。世界情勢を受けて予定通りに進まないことや現地での対応の厳しさを知ることもできた。オーストラリア国内を1万キロ以上駆け巡り、このプロジェクトを達成させることができた。挑戦できる機会があれば、また日本を越えて世界に挑戦したい」と話す。報告会を終え、「ここまでが世界大会。これで本当の一段落になるかと思う。次に切り替えていかないといけない。大会を経験して学ぶことがあったので、これをどう生かしていくのかしっかり考えたい」と意気込む。

 濱根さんは「世界初の技術を盛り込みすぎた。私たちは世界からクレイジーとずっと言われていて、ほかがやらないことをずっと追求してきた。やりすぎるとルールは変えられてしまうらしい」と話す。

 これまでチームを率いてきた濱根さんは本年度をもって監督を引退し、今後は顧問としてチームを支えていくという。「私が工学院大学でソーラーカーを作って15年になる。監督として顔が売れてしまい、最近は私自身が出すぎていると思っていた。学生自身がプロジェクトとして一からやることが必要で、学生自身で作り上げてたくましくなってほしい。そこで、来年3月を持って監督を辞め顧問になることにした。今以上に裏方として学生を支援して、できれば学生を監督にしたいと思っている。学生の言ったことをとにかく応援していきたい。より一層の熱い応援をいただきたい」と濱根さん。

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