八王子市内にある名山を決める「TOKYO八王子名山選定プロジェクト」の選定結果発表が4月30日、コワーキングスペース「8Beat(エイトビート)」(八王子市三崎町、TEL. 042-649-6681)で行われた。
同企画は市民有志による同プロジェクトが手がけた。昨年11月から1月末まで、同プロジェクトのウェブサイト上で市内にある思い入れのある山を推薦してもらうアンケートを実施。440件を超える応募があった。候補となった山の実地調査などを行い、今回、「TOKYO八王子名山」として36座、「八王子隠れ名山」として52座を、それぞれ選定した。それぞれに順位は付けていない。
「TOKYO八王子名山」の選定基準として、「眺望や山の形に個性があるもの」「川の源流に当たる山」「原生林がある山」「郷土の生活や文化、歴史にゆかりがある」「動植物や昆虫の生息」「地質に特徴がある」「登山道などの人跡が少なく、自然度が高い」などを挙げた。
今回は市内最高峰となる高さ867メートルの山・醍醐(だいご)丸のほか、八王子市・あきる野市・檜原村の境に当たる「一歩地(いっぽち)山」、八王子城跡がある八王子城山、小仏城山、滝山など八王子の歴史と関わりがある山や、アンケートの結果、投票数が1位だった景信山、同2位=高尾山、同3位=今熊山などを「TOKYO八王子名山」として選定した。
選定委員が推薦した「八王子隠れ名山」には、ひよどり山や稲荷山、小仏峠、御殿峠、野猿峠などに加えて、富士森公園、宇津貫公園、平山城址公園、長池公園といった現在は公園などとして整備され山体は残っていないものも選んだ。
同プロジェクトの発起人で、選定委員を務めた佐野聖文さんは「名山の基準として歴史など人との関わりにもフォーカスを当てることで、自然と八王子らしい名山が決まるのではないかと思った。『TOKYO八王子名山』という名前にすることで、世界の人にもアピールしたい。『隠れ名山』には、できるだけありのままの自然を生かした山の味わい方を守るため自然保護の点で警鐘を鳴らしたいという思いも込めた」と話す。
選定委員を務めた「8Beat」の小柳次郎代表は「八王子の山といえば高尾山しか知らないのはちょっともったいない。その高尾山ですら我々も知らないところがあるし登り方もいっぱいある。いろいろなところに関心を持っていただきたい」と話す。
8月11日の「山の日」に合わせて、「全国山の日協議会」(新宿区)が行う「『山の日』全国大会」が、今年は「東京全体」を会場として行われることを受けて、今後は選定した名山の周知に加えて、モデルコースの策定や地図などのコンテンツ制作、自然保護の啓発活動、行政などと連携した地域活性化に向けた取り組みなどを進めていく方針。