八王子市は10月1日から、雨水を地中に浸透させるための施設を設置する際にかかる費用の補助を9割まで大幅に引き上げる。
雨水浸透施設とは、雨が降った際、屋根に貯まった雨を地中へと浸透させやすくするためのもの。一般に水を徐々に土へとしみこませる「浸透ます」と浸透ます同士の間を雨水浸透管と呼ばれる管でつなぎ、広範囲での効果を狙う「浸透トレンチ」の2種類から成り、これにより、都市部での水害の防止や雨水が下水道へ流出する事の抑制、地下水の水質や水量を改善させる効果などが期待されている。
雨水浸透施設の設置は全国的に進められており、各地方自治体も施設の設置の際に補助を行うなど、積極的に対応。八王子でも現在、工事額の2分の1を市が負担する補助を実施しており、上限額はそれぞれ「雨水浸透ます」で7万円、「雨水浸透管」で3万円となっている。
今回の補助の拡大について、市環境部水循環室水行政担当の担当者は「8月23日に子どもたちが街づくりについての意見を直接市長に発表する『子どもミーティング』の場で提案され、それを実現するもの」と語る。
同ミーティングは子どもの視点を街づくりに生かすため、今年から始まったもの。「環境」をテーマに小学6年生25人と中学生5人の計30人が参加し、普段考えていることや、自分たちの手で調べてきたことを元に市長らと話し合った。この場で子どもたちが「雨水浸透ますを市がもっとPRし、取り付けに協力しては」と提案。市長はその場で9割補助の実施を約束していた。
新制度では、補助の算定の基本となる「標準工事費単価」に設置した雨水浸透施設の数をかけたものの9割、または、実際の工事額の9割のどちらか少ない額を補助する。これまでは設備によって分かれていた限度額も工事全体で15万8,000円に変わる。
市に対して事前に相談を行い、市はそれを受けて現地確認や提出された見積もり書などを元に補助を行うかどうか決定。実際に支給する補助金の額は工事の後、改めて審査を行い、決定するという。