初宿(しやけ)和夫八王子市長が8月27日、市民に災害への備えを呼びかけた。
会見冒頭、初宿市長は8月8日に日向灘を震源とする地震が発生したことから、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことや台風10号の接近に触れ、「今年は能登半島地震をはじめ全国で自然災害が多発している。こうした災害の教訓から日頃の備えの重要性を感じている」と話した。
八王子市では、ハザードマップなどを掲載した「八王子市総合防災ガイドブック」を2022年に改訂し、市民に配布している。6月の補正予算には、避難所となる小中学校体育館への空調機設置や指定避難所への簡易間仕切りの配備、災害発生時に医薬品を確保するため薬局に普段から少し多めに用意してもらい、ローリングストックの手法で医薬品を備蓄するなどの施策を取り入れた。8月27日には日向灘での地震を受け、市職員が避難所の開設・運営の研修を行うなどさまざまな形で防災に取り組んでいる。
「防災に関する意識は年々高まっていると思う。かつては災害のために備蓄をして万が一、何かが起きた時には使う考え方だったが、普段使いできるものを備蓄し、普段の生活の中で災害に備えていく『フェーズフリー』の考え方を私は市民から学んだ。市の防災対策もこのフェーズフリーの視点で政策を推進しようとしている。行政としての備えはしっかりやる。防災への備えは市民の方々も普段からしていると思うが、今一度この機会に備蓄品や避難経路、いざというときの家族との連絡方法などを確認してもらえれば」と初宿市長。
八王子の地理的特性を受け、「かつて八王子で甚大な被害を被ったのは水害だった。地震や火山の噴火による被害は予測ができないが、水害は予測ができる。備えはしっかりしていかなければいけないし、特に注意するよう市民に繰り返し呼びかけたい」と話す。
米不足にも触れ、初宿市長は「毎日、西八王子のスーパーに買い物をしているが、在庫が少なくなってきている印象はあり、一瞬、棚から消えたこともあったが、ここ1、2日は夜に行っても残っていたので買い占めまではなっていないよう。必要以上に買い備えることがないようにしてほしい」と呼びかけた。
8月29日から降り続く雨の影響で、京浜河川事務所と気象庁は同日21時20分に「浅川氾濫警戒情報」を発表し、「浅川では、当分の間、避難判断水位付近の水位が続く見込み」として、適切な行動を取るように呼びかけている。
30日4時50分には東京都と気象庁が八王子市を対象に「土砂災害警戒情報」を発表し、市内の土砂災害警戒区域などでは「命に危険が及ぶ土砂災害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況」として、安全な場所への速やかな避難を促している。八王子市は同日8時30分、該当する地域に「警戒レベル4」の避難指示を発令し、市内の市民センターや学校、富士森体育館(台町2)、八王子市夕やけ小やけふれあいの里(上恩方町)の市内26カ所に避難所を開設した。