
京王線・高尾山口駅前の「高尾山ふもと公園」(八王子市高尾町)が7月2日、「東京都公園協会賞」の最優秀賞を受賞した。
東京を緑豊かな都市にしようと、公益財団法人東京都公園協会(新宿区)が、「緑と水」の普及啓発などに取り組み貢献した個人や団体を表彰するため1965(昭和40)年から行っている同賞。今回で60回目。「技術」「論文」「実施記録及び報告」「ボランティア・社会貢献活動」の4部門の作品を公募し、表彰している。
最優秀賞を受賞した「高尾山ふもと公園」は、同駅から高尾山表参道までの道沿いにある広場を整備したもので、昨年4月に開園した。駅前を流れる案内川で東京都が進めていた整備工事が終わり、八王子市が公園として整備した。川の整備にあたって、都は水辺に降りることができる階段状の護岸を新設。遊具などは置かず、高尾山への来山者が利用できるよう登山ルートや周辺地域、日本遺産について案内する看板、靴洗い場などを設けている。
市はワークショップなどを通じて、八王子市民、地元関係者などと広場の整備に向けた検討を重ね、2020年には高尾山などが日本遺産に認定されたことも反映し、「(仮称)高尾山口駅前案内川左岸広場整備方針」を取りまとめて整備した。
今回は「高尾ふもと公園と案内川の一体的整備による、高尾山麓の魅力ある水辺空間の創出」として、八王子市まちなび整備部公園課と東京都南多摩西部建設事務所が表彰された。
同会は選定理由を「計画作成から事業の実施に至るまで工夫が凝らされている。実現のプロセスにおいて、住民・管理者・民間事業者・有識者などによる協働がなされるなど公共空間整備にかかる今後の模範となる好事例」とした。
初宿和夫八王子市長は「東京都が整備したのは河川管理区域。都だけなら水に親しめるものを整備する義務はない。高尾山という観光名所で地元市民に加え、来訪者にも水辺の環境に親しんでもらうため都と八王子市が一緒になって作り上げた。行政組織はよく縦割りと言われるが、組織を越えた良い連携が取れ、市民や八王子を訪れてくれた方に喜んでいただけるすばらしい物ができ上がった」と話す。
「今ある社会課題は一つの組織で解決できるものではなく、行政だけでも企業だけでも解決できないものがある。いろいろな組織と連携を取りながら解決に当たっていく時代。八王子市が触媒となり、各組織が強みを生かし弱みを補いながら社会課題に取り組んでいくことを期待したい」とも。
受賞作品は、高尾山ふもと公園のほか、日比谷公園(千代田区)内「緑と水の市民カレッジ」で7月29日~8月30日、パネル展示する。入館無料。