実践女子大学(日野キャンパス=日野市大坂上4)が12月17日、日野キャンパスの機能を2031年4月に渋谷キャンパス(渋谷区)へ移転・集約すると発表した。
1965(昭和40)年に日野市内の土地に校舎が完成し、1986(昭和61)年にはそれまで渋谷にあった大学、大学院、短期大学の全機能を日野キャンパスに移転した同大。その後、2014(平成26)年には渋谷に新キャンパスを整備した上で、文学部などの機能を移転した。現在は日野と渋谷の両キャンパスで、教育・研究活動を行っている。
同大を運営する実践女子学園の理事会は11月26日、2031年4月をめどに日野キャンパスにある全学部・全学科の機能を渋谷キャンパスに移転、集約することを決めた。今後は渋谷キャンパスの再整備に向けた準備を進める。同大は2014(平成26)年に日野市との間に包括連携協定を結んでおり、機能集約後も日野キャンパスの一部校地は残し、日野市との連携も継続するという。
同大の広報担当者は「最先端の企業や文化が集積し、国際性豊かな渋谷へのキャンパスの集約は、本学が目指す『さまざまな社会課題に向き合い、自ら考え、行動する力』を育成する上で、きわめて重要な意義を持つ」と説明する。附属の実践女子学園中学校高校(渋谷区)の校舎建て替えが進んでいることから、「中高大が連続した教育環境を整備することで、学園全体の基盤強化につなげていく」とも。
地方大学振興法では、地方の学生を増やすため、2018(平成30)年から10年間、原則的に都区部では学部・学科の定員を増やせない「23区規制」を設けている。同大の広報担当者は「規制は2028年3月末で失効するが、万が一規制が延長された場合には、今後の状況を踏まえて改めて対応を検討する」と話す。
古賀壮志日野市長は以前、同大の渋谷への機能集約の説明を受けており、再検討も要請したという。「学園が同大学の渋谷キャンパスへの集約方針を決定したと発表されたことは大変残念」と古賀市長。「学園にとって大学経営上の大変大きな決断であったと理解はするものの、同大とは長年にわたり人材育成、教育、文化の振興、地域活性化などに協力して取り組んできており、移転が地域に与える影響を深く懸念している。キャンパス集約後も校地の一部を残し、市との連携を継続するとの説明は受けているが、引き続きあらゆる可能性について協議させていただく」とも。