多摩市を拠点に活動するMacユーザーグループ「ゆうMUG」は現在、ポッドキャストを通じて電子書籍「どんまが!!」を配信している。
同グループは2007年、アップル製品を専門で扱う「PLUS YU」(多摩市諏訪)の常連客らが集まり結成。現在、100人以上が参加し、MacユーザーやiPhone、iPadユーザーなどが集まって情報交換を行う定例会を開くほか、セミナーなども行っている。
今回発行したのは「EPUB」形式の電子書籍。同形式は2007年に米国で制定。XMLをベースとしており、表示するディスプレーに合わせて自動的に文字のサイズを調節するなどの機能を持つ。iPhone・iPod touch・iPad向けのアプリケーション「iBooks」のほか、ソニーの電子書籍リーダー「Reader」などの端末に対応。PC上ではアドビ社の「Adobe Digital Editions」などのソフトウエアが表示に対応する。
配信は、昨年5月に発売されたiPadの存在がきっかけだという。「iPadが出たことで電子書籍も広まってきた」と会長の杉山さん。「その中で、自分たちでも作ってみよう、という話がツイッター上で盛り上がった」。昨年8月にアップル社が自身のMac向け統合オフィスソフトウエア「iWork '09」をアップデートし、ワープロソフト「Pages」からEPUB形式書き出しに対応したことも影響した。「新しく出てきたものには挑戦してみようと思った」と杉山さん。
編集長を務めたのは、同グループでiPhone向けアプリの開発などを担当する稲葉さん。「ソフトバンクの孫社長のようにノリで『やりましょう』と言ったら本当にやることになってしまった」と振り返る。昨年9月ごろから動き始め、12月末に同グループがニュースなどを配信しているポッドキャストのチャネルを通じて「試食号」を発行。同グループの説明のほか、定例会の報告やコラムなどでまとめた。「細かいところは決めず、お願いした原稿が集まったら出すといった、まさにタイトル通りの丼勘定でやった」と稲葉さん。
制作は試行錯誤の連続だった。「EPUBではこちらの意図した通りには表示されない」とデザインを担当した金子さん。iPadで確認しながら制作を進めたが、「縦書きもできないし、文字の大きさも写真の位置も端末や環境によって異なってくる。レイアウトはあきらめようと割り切った」と話す。「レイアウトも重要な情報の一つだが、EPUBの場合は文字を中心とした情報にならざるを得ない。やってみてわかった」
現在は2月にも発行を予定する「第1号」に取り組んでいる。「多摩地区に根ざした組織なので、地域情報も積極的に取り扱っていきたい」と杉山さん。今後は「昔のMacの話やiPhone向けアプリの開発の話、大手メディアでは取り上げないような豆知識などもやってみたい」と意気込む。
ポッドキャストは同グループホームページのほか、「iTunes Store」などを通して登録・聴取することができる。無料。