八王子のご当地キャラクターとして昨年から活動している「たき坊」が3月29日、2012年度の「八王子市市民企画事業補助金」対象事業として採択され、市公認「ゆるキャラ」になった。
少林寺(八王子市滝山町)副住職・大石隆元さんを中心とした「八王子のゆるキャラを作ろう会」が展開する同キャラクター。マイペースで好奇心旺盛なお坊さん見習いの「たき坊」とツンデレ気味のヒロイン「この姫」、同寺に住むとされる「おしょさん」の3つのキャラクターで物語を展開。昨秋からイベントに着ぐるみの「たき坊」が登場するなど、さまざまな活動を行っている。
「そごう八王子の撤退と東日本大震災で八王子はどうなるのかと思っていた」と大石さん。「僧侶として被災地に慰霊法要などをさせていただき、今生きている人たちにどのようにしていけるのか考えるようになった」とも。
2009年から活動している八王子のご当地ヒーロー「転成合神ゲンキダーJ」と出会い、その活動にスタッフとして協力したことが転機になった。「八王子にヒーローはいるが、ゆるキャラはいない。八王子が好きな人の受け皿になるようなものができるのでは」と大石さん。昨年6月ごろ、このアイデアを喫茶店で知人に相談していたところ、たまたま隣のテーブルに座っていた当時大学4年生の、わしずみくさんがキャラクターを描き始めた。「八王子は東京の一地方で、タヌキが出るくらいの田舎かたぎ。タヌキの信楽焼とお坊さんがかぶる。そんな話をする中でデザインができていった」と振り返る。
デザイン完成後、着ぐるみなどを自費で製作。昨年10月末からイベントへの参加を始め、11月には、ゆるキャラさみっと協会(滋賀県彦根市)に「八王子唯一のゆるキャラ」として登録。テーマソングやキャラクターを使ったあめなどコラボも進めるほか、今年2月、「古事記」完成1300年に合わせて東京都庁で行われた兵庫県淡路市の「あわ神じん」と「あわ姫」の結婚披露宴にも参列するなど市内外で活動を進めている。
今回の事業採択について、「非公認だったゆるキャラが公認になるのは全国でも初めてでは」と大石さん。4月1日から行われる道の駅「八王子滝山」(滝山町)の5周年記念イベントなど、既に「たき坊」のスケジュール帳には多くの予定が入っているという。
事業を支えるスポンサーの発掘やスタッフの増強、メディアへの露出など課題もあるが、大石さんは「子どもからお年寄りまで人気があるので老人ホームの慰問などもしたい。八王子は広いので、いろいろなところに行きたい」と意気込む。