若手経営者向けに経営ノウハウなどを教える塾「お店よろし塾」と学生デザイナーユニット「TRICKY(トリッキー)」は4月16日、オフィスとなる八王子南口の一軒家(八王子市子安町1)のお披露目を兼ねたオープニングパーティーを開いた。
「お店よろし塾」は、八王子で靴店「うさぎや」(八王子市明神町2)を経営する小俣能範さんが店の経営について細かく指導する小規模店主向けの勉強会。「八王子の商店主は危機感が薄く経営戦略を持っていない人が多い」と指摘する小俣さんは、フレデリック・ランチェスターによる軍事作戦の法則を経営に反映した「ランチェスター戦略」を教える勉強会を自ら立ち上げた。現在は15人の若手経営者が受講する。
トリッキーは今春から活動を開始したデザイナーユニット。代表で、今年の春に東京造形大学(宇津貫町)を卒業した中村文子さんは在学中、七夕に八王子駅北口のペデストリアンデッキ「マルベリーブリッジ」で行われているイルミネーションなどを担当。これらの活動を通して地元商店会などと連携したことをきっかけに、同ユニットを立ち上げた。
ユニットは10人を超える美術系大学の学生と卒業生4人による事務局メンバーで構成。メンバーの大半は造形大や八王子にキャンパスを持つ多摩美術大学(世田谷区)に通う大学2~3年生。室内建築やグラフィックデザイン、コミュニケーションデザインや映像など、それぞれ違う分野を専攻する学生が集まり、専門分野にとらわれず自由に活動している。
中村さんと小俣さんの間を取り持ったプランナーの田中正國さんは「これから南口に注目が集まる中、八王子の良さは再開発ビルだけではなく古くからの商店や街の人にある。それらを学生の力を借りて盛り上げていければ」と話す。「学生の考えに共感して、事業が街の役に立ち学生の体験の場になると感じ、トリッキーに部屋を提供することにした」(小俣さん)とも。
地元商店主や学生、市議会議員、行政の担当者など幅広い分野の人が集まったパーティーでは、プレゼンテーションなどのほか、地元のパン店「布屋」(旭町7)のサンドイッチを軽食として用意するなど、地元へのこだわりを随所に入れた。参加した東京造形大学教授の春日明夫さんは「デザイナーとして地域の人と触れ合う中でいろいろと学べると思う。もっと街に出てもらいたい」と期待を寄せる。
今後、「お店よろし塾」と「トリッキー」は一軒家オフィスで同居し、それぞれの活動を行っていきながら相乗効果を図る。