![初宿市長(前列中央)と「八王子市ものづくり産業表彰」の受賞者](https://images.keizai.biz/hachioji_keizai/headline/1739541347_photo.jpg)
「八王子市ものづくり産業表彰」授与式が2月10日、八王子市役所で行われた。
著しい成果を挙げた八王子市内の事業者や個人を対象に、市が日頃の産業振興への貢献をたたえる同表彰は今年で14回目。
本年度は、個人表彰=4人、団体表彰=10月に「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」の奨励賞を受賞した「メデック」(八王子市下恩方町)の5者を表彰した。
個人表彰は、昨年4月に「科学技術分野の文部科学大臣表彰」の技術部門を受賞した「アドニクス」(台町4)の小島要社長、同社開発部の新家隆広さん、同部の望月知也さん、10月に「東京都優秀技能者(東京マイスター)」の知事賞を受賞した阿川美装店(犬目町)の阿川祐樹社長の4人。当日は初宿和夫八王子市長が5者に賞状を手渡した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月着陸機「SLIM」に搭載された月面探査ローバー「LEV-1」の通信機なども手がけたというアドニクス。「A88シリーズ」と名付けた超小型人工衛星に搭載する8センチ角の通信機を開発したことから「科学技術分野の文部科学大臣表彰」を受けた。
「アドニクス」の小島社長は「超小型人工衛星に搭載するということで、超小型で省電力な通信機を要請された。今回、賞をいただいた3人で知恵を絞って実現した。『八王子から始まる8センチの通信機』ということで、『A88』という名前にした。八王子で人工衛星を作りたいという思いがある。八王子はどこに行くにも行きやすいし、大学も多いのでいろいろな情報収集にも良い。私たちは開発が主体だが八王子はものづくりの企業が多いので、街で物を作ることを意識している」と話す。
建築塗装工事を専門とし、2022年度「優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)」受賞、現在、東京都塗装高等技術専門校(渋谷区)で講師を務める阿川美装店の阿川社長は「ものづくりは代々受け継いでいくものだが、すぐ覚えられるものでもないので継承が難しい。日々コツコツと探究心を持ちながらやってきた成果が評価されうれしく思う。後進の育成という形で私が持っている技術を教えていくことで、より多くの人たちが建築塗装という分野に触れ、ものづくりを継承してもらえたら」と話す。
内視鏡や血液分析機などの医療機器に使う部品の加工・製造などを手がける「メデック」の関社長は「物を作る技術を継承する人材育成は会社の存続につながるものなので、非常に力を入れている。みんなで技術を継承し教え教わりながら質を高めていきたい」と話す。
初宿市長は「ものづくりの分野で地域経済をけん引し、長年培われた技術の中でさらに進化を続けている各社。表彰できることを市としてもうれしく思う。今後も八王子の皆さまの仕事に少しでもプラスになるように取り組んでいきたい」と話す。