メディア・アイ・コーポレーション(八王子市元本郷町3)は6月から、アメリカ製のデジタルプラネタリウムシステム「Digitarium Delta(デジタリウム・デルタ)」を一般に貸し出す事業を始めた。
インターネットを通じた映像配信やネットワークシステムの構築などを行っている同社。昨年7月には鹿児島・悪石島から皆既日食の中継を、今年6月には小惑星探査機「はやぶさ」の帰還に合わせ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の管制室の模様を生中継するなど、宇宙・天文に関わるインターネット生中継なども手がけている。「弊社創業者は国内プラネタリウムのメーカーに勤務していた」と社長の相原一晴さん。「星好きな社員がスピンアウトして創業した会社なので、宇宙・天文やプラネタリウムにかかわりを持つ業務は得意分野の一つ」だという。
デジタルプラネタリウムはCGによってリアルタイムに天体像を生成し、プロジェクターで投影するもの。これまでのプラネタリウムは小さな穴を開けた原板(げんばん)に恒星像を描き、レンズを通してそれを投影する「ピンホール式」で決められたものしか投影することができなかったが、デジタルプラネタリウムではその場に合わせて、さまざまなものを投影できる。「プラネタリウムとして利用するのではなく、全周映像を表現する装置として、こちらが予想もしていない施設や利用方法も考えられる」と相原さん。
今回は、同社が「Digitarium」の開発元であるDigitalis Education Solutions社と代理店契約を締結することを受け、実際に装置に触れる機会を設けるため、レンタルに踏み切った。「従来ならスクリーンに投映された映像や操作感が分からない状態で製品を購入していただく必要があった。実際に行われるイベントでスポットでお使いいただいたり、内々で評価などしていただきながら幅広くご利用いただければ」とも。
貸し出す製品は縦44センチ、幅42センチ、重さ22キロと、シリーズの中でも最もコンパクトなモデルを用意する。解像度はフルHDに当たる1,080ピクセルで、「小型でありながら高解像度の映像を投映することが可能」。システムはLinuxベースのオープンソースソフトウエアで構成する。
レンタル価格は1日2万1,000円から(別途、送料・保険料なども必要)。科学館や博物館、学校での授業などのほか、ショッピングモールやカフェバーなどでの利用を見込む。「小型ドームを使用し、少人数を対象としたイベントや学習などにご利用いただくことも可能」。
ちなみに販売価格は200万円から。「今まで購入することができない価格帯だったものを手の届く価格帯まで押し下げた」と相原さん。日本国内での納入実績はまだ1台のみだが、アメリカではすでに200台以上が販売されているという。