JR高尾駅(八王子市高尾町)で12月12日、ホームに設置された「天狗像」を清掃するすす払いが行われた。
高尾山は「天狗が住む山」と言われており、「蛸杉」を始めとした天狗にまつわる伝説のほか、高尾山薬王院(高尾町)には天狗像が祭られるなど、天狗との関わりが深いとされている。
同像は1978(昭和53)年にこの天狗伝説を受けて、高尾観光協会と同薬王院が同駅の3番・4番ホームの東京側に設置。同像の製作で中心的な役割を果たした彫刻家の大成浩さんは「当時国鉄が進めていたキャンペーン『ディスカバー・ジャパン』に協力しようとアイデアがないかと聞かれ、『祈願の印を建てたらどうですか』と提案したら1時間で決まってしまった」と振り返る。製作期間は約半年。塩山御影石約60トンから、高さ約2.4メートル、鼻の部分の長さ約1.2メートル、重さ約18トンの天狗像を作った。
すす払いは同院が主催し、毎年末に実施しているもの。当日は11時から同院僧侶らがホームで交通安全祈願の法要を実施。同駅の横山修一駅長や大成さんらのほか、当日ホームを訪れた人も参加した。終了後には同院のお守りも配られた。その後、同院職員がたわしやブラシを使って手作業で清掃作業を実施。約30分かけて1年の汚れを落とした。
今年同駅の駅長に就任し、初めてのすす払いを終えた横山さんは「思った以上に厳粛な感じだった」と話す。「いよいよ師走ということで年の瀬を迎える準備もできた。天狗様に守られて、無事故でお客さまの怪我がないようにしていきたい」とも。