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インタビュー2013-09-18

世界最大のソーラーカーレースへ「あとは行くだけ」-工学院大学・濱根洋人准教授

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10月6日から始まるオーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断する「ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(WSC)」に向け、直前の準備を進めている工学院大学「ソーラーカープロジェクト」。渡豪を前にプロジェクトの代表を務める同大機械システム工学科の濱根洋人准教授にレースに向けた意気込みなどを聞いた。

 2009年にスタートした同プロジェクト。これまでにもイベントやレースにも数多く参加しており、昨夏に秋田県大潟村で行われた「2012ワールド・グリーン・チャレンジ」の「ソーラー&FCカー・ラリー」では部門チャンピオンなどを受賞。今春には作り上げたソーラーカーなどの輸送の際に使われる新型の運搬トラック(トランスポーター)を導入したほか、7月には新規格対応のソーラーカー「Practice(プラクティス) 驍勇」を発表するなど世界に向けた準備を着々と進めてきた。

■最初はサークルから始まった

-濱根先生とソーラーカーとの出合いを教えてください。
濱根 「秋田県大潟村で行われているソーラーカーレースに初回から出ている青山学院大学の林先生の下に助手として入ったんです。それがきっかけ。入った瞬間、いきなり『オーストラリアに行け』と言われたんですね。初めてソーラーカーに出合って、オーストラリアに行ったらはまってしまいました」

-子どものころからものづくりが好きだったのですか?
濱根 「プラモデルとかラジコンはよくやっていましたね。ガンダムのプラモデルのコンテスト出して金賞を取ったりするとか。大学のころソーラーカーどころか、ものづくりには全く無縁で、どちらかというと、みんなで温泉に行ったりスキーに行ったりとそっち系でした(笑)」

-そして、工学院に移られて、ソーラーカーのプロジェクトを立ち上げられると。
濱根 「僕が入る前、電気の学生さんが3人だけでやっていたんですよ、サークルみたいな感じで。そうしたら、工具をまったく使わないで手でずっとサンディングしていたり、なぜかソーラーカーなのに燃料電池も買っていたりした(笑)。レギュレーションには合わないし、手で作っても一向に進んでいない状態だったんですね。そして、この3人が卒業してしまう。大学院には行かないで、趣味でやっていてんですね。それで、せっかくあるんだったらということで、その後を継いだという形ですね」

-最初はサークルみたいなものだったんですね。
濱根 「ただ、この時に今の車の設計思想が生まれるんです。200台とか300台かな、もっとあったかもしれませんが、建築学科が使うスチレンボードでいろいろなボディーを作ったんですよ。ソーラーカーのレースにも行ったことがない学生なので、ソーラーカーらしい薄型、翼型なんていうのは無視。とにかく車らしい車ばっかりができていく。そして、ソーラーカーの歴史をみんなで調べまくった。そうしたら、26年間、薄型の機体がずっと続いているということになって、『どうせやるなら次の変わっていく形を作ろう』と学生が最初に作ったモデルが、1号機のベースになったんです」

-サークル時代は大変だったんですね。
濱根 「ええ。授業で『やる人いませんか?』と呼び掛けて、1年生を中心に10人くらいが最初に入ったんですね。ただ、そこからはまったくどうにもならなくて。CADもできないし何もできないし道具もないしということで、一度つぶれたりするんですよ。チームが正式に発足したのは2009年ですね。もう1回研究室を中心にやろうということになったんです。そこから本格的に始まっていきました」

■目標は「タイヤ1本で3000キロ」

-そこから5年を経て、現在のチームとなるわけですが、今はどのような方々がいらっしゃるのでしょうか。
濱根 「機械と電気の学生がメーンで、4年生以上が多いですね。1年生は10人くらいです」

-レースについてはどう捉えられていますか?
濱根 「今回は接戦だと思っています。われわれの車はテストコースの結果、結構、速度を出せている。今回、足回りには相当力を入れているんですよ。ミスがなければタイヤ1本で3000キロを走ってしまうくらいの目標を持っているので、僅差の中で行きたいですね」

-接戦になりますか?
濱根 「今回、上位チームがCdA(空気抵抗係数)のA(車体の前面投影面積)を減らすということで、車体を右寄せや左寄せにしてきているんですよ。これがいいのかどうか。前回、前々回大会と結構パンクしているんですよね。重心が片寄った時に3000キロ走るとドライバーも疲れてしまうし、パンクが多発するような気がする。われわれの車は結構Aが大きく見えるので巡行スピードが悪いように思われているんですが、テストコースの結果では結構いいんです。そうすると、おそらく接戦になるだろうと」

-不安な点は?
濱根 「天気。天気はインマルサットと衛星携帯を用意したので、偵察隊の人力戦と日本の20人で『LINE』でつながるような勢いの人海戦術を行って、ピンポイント予測をやっていきたいですね」

-砂漠の中での生活になりますが、どのような対策をとられるのでしょうか?
濱根 「キャンプはわれわれ、秋田はいつもテント生活ですから(笑)。今回はトランスポーターがありますので、うまく使ってやる予定です。2段になっているので、キャンプ地でもすぐ出せるようにするとか道具はかなりそろえていますね。学生さんは初めてなので、サソリやヘビなど、そういう注意事項はかなり言っています」

■工夫からアイデアが生まれる

-このソーラーカーのプロジェクトを通して、学生たちにはどういうものをつかみ取ってもらいたいですか?
濱根 「僕らがワールドソーラーカーチャレンジで初めてオーストラリアに行った時は、あれやこれやと工夫をいろいろしていたんですけど、ここ最近はモーターを買う、ソーラーパネルを買う、とプラモデルみたいにできてしまうんですよね。それで走ってしまう。そのままやるのは大学でのチャレンジじゃないと思っているんです。今回のポリシーは人を重視して、ちゃんとドライバーポジションを用意してあげて、低重心にして、とやっているのですが、その思想を考えた時の工夫を大学生らしさとして覚えておいてほしいというのが学生へのメッセージです。いろいろな工夫をすることで、新しいアイデアが若い人たちから出てくると思うんですよね。それが大学生らしさだと思います」

-学生から出てきたらアイデアには面白いものもありますか?
濱根 「いっぱいありました。アイデアとしていろいろ出てくる。空力について抗力と揚力のバランスをとることです。空気を上に逃がすのか下に逃がすのか風洞試験しながら学生のアイデアが出てきて、数値がどんどん良くなってくるわけです。ほかにも、太陽パネルを走りながら冷やすとか電極を太陽パネルの外にわざと出して熱干渉を防ぐとか」

-学生の成長は感じられますか?
濱根 「本当に成長したなと思っています。ソーラーカーを見たことがない、やったことがない学生さんばっかりだったのが、今やフェイスブックで他チームを気にするわ、違うチームのことを評論するわ。初回のチームじゃできないようなことを学生が自らやってくれています。タイヤを替えて入れるのに1本2分以内にやれるようになりました」

-今回の大会が終わった後、どのようなことを考えていますか?
濱根 「入部したいという学生さんの応募があるんですね。2号機を作る時に1号機をばらしてしまったので、まず、低学年の学生さんに1号機をあれやこれやと改造してもらってリビルドする。そのようにチーム体制をきちんとするのが帰ってきてからの課題ですね。あと、興味はクルーザークラス(※)に移ってきているので、次の世界のためにそちらをスタートさせるというのも考えているところです」

-あとはレースですね。
濱根 「もう仕上がっていますので、行くだけです」

-ありがとうございました。

※クルーザークラス:今大会から導入された新規格で、これまでのレーシングソーラーカーよりも実用的な近い車体を目指す部門。

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