学ぶ・知る

ネット上に近未来の航空機を仮想表現-首都大の2研究室が連携し開発

「START ON AIR!」を開発した渡邉ゼミと金崎ゼミの学生たち

「START ON AIR!」を開発した渡邉ゼミと金崎ゼミの学生たち

  • 0

  • List
  •  

 明治神宮外苑(新宿区)で10月30日から始まった「東京デザイナーズウィーク」に、首都大学東京(日野キャンパス=日野市旭ケ丘)の学生が開発し、近未来の航空機の姿をサイト上に仮想表現した「START ON AIR!(スタート・オン・エアー)」が出展され、話題を呼んでいる。

スクリーンに映し出されている「START ON AIR!」

[広告]

 サイトは同大システムデザイン学部インダストリアルアートコースの渡邉英徳准教授のゼミと、同航空宇宙システム工学コースの金崎雅博准教授のゼミが共同で開発したもの。「Google Earth」上に「ブレンデッドウィングボディ(BWB)」と呼ばれる機体の3次元モデルを配置。羽田空港から香港国際空港までのフライトを通して、BWBに関するさまざまな情報が楽しめるようになっており、航空機設計の最適化について研究を進める金崎ゼミのこれまでの成果を、渡邉ゼミがコンテンツとしてまとめた。「航空宇宙とインダストリアルアートを一緒にやっている大学はない」と渡邉准教授。

 開発に当たっては、それぞれのゼミの学生がコラボ。本格的に開発に向けた作業を始めたのは4月ごろからだという。教員の指示で動くことが多い工学の世界と、自らの考えで動くことが多いデザインの世界がコラボするということで、「スタイルから違う」と金崎准教授。そこで、プロジェクト名を決める段階から、「Googleドキュメント」をはじめとしたツールを使い、情報共有を進めながらプロジェクトを展開したという。

 渡邉ゼミの学生は絵コンテ作りなどを通してどのように表現をするか研究。航空機についてあまり興味がない人も引きつけようと、ボタンのあり方などにもこだわったという。「『インターフェースの夜』ともいえる、それだけを突き詰めた日もあった」と修士1年の佐藤さん。作業と同時にコンテンツの充実も図り、「ここまで根を詰めてやったことはなかった」とも。動きがある「Google Earth」の上に表現することから視点の位置なども考えながら進めなければならず、学生からは「高校の時、数学や物理が好きで良かった」という声も聞かれた。

 金崎ゼミの学生も機体を正しく、そして、かっこよく表現するため、スーパーコンピューターを借りてエンジンのパターンの計算を繰り返すなど苦労を重ねた。中でも、機体を表現するポリゴンの数は当初、16万点とサイトで表現するには多すぎたという。「それを渡したら、渡邉ゼミのほうで形を維持したまま数を減らしてくれた。さらに曲率など工学的な修正を行った結果、6000点まで減らすことができた」と金崎ゼミに所属する修士2年の埴田(はにだ)さん。このほか、航路の設計や技術的な説明をどのように分かりやすく行うかなどについても苦慮したという。

 サイトは9月中旬にオープン。今回のプロジェクトについて金崎准教授は「一般の方でも3DCGやバーチャルリアリティーに触れられるようになったことが大きい」と振り返る。学生はコラボを前向きに感じており、佐藤さんは「うまくいった」と太鼓判を押すほか、埴田さんも「想像をかき立てるものとして、いろいろな人が入りやすいものになったと思う」と評価。確定ではないものの既にオリジナルキャラクターをデザインした学生もおり、「アナウンスや空港の土産として持って帰れるコンテンツのようなことができるかも」と次へのアイデアも膨らませているという。

 「東京デザイナーズウィーク」では、渡邉ゼミの学生が開発したiPhone向けARアプリなどともに展示。「ちゃんと展示をやろうとフライヤーなども用意した。おもてなしの気持ちでやりたい」と佐藤さん。「Google Earth」を見せると子どもたちに好評なことから、「サイトを見た子どもたちから、『第2の宇宙兄弟』が生まれるといい」と期待を寄せる。

 「東京デザイナーズウィーク」は11月5日まで。同サイトは中央会場内「Design Next」コーナーに出展している。開催時間は11時~21時。

八王子経済新聞VOTE

「八経」こと八王子経済新聞に期待する記事は?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース