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八王子から「公文書現代文訳プロジェクト」 幕末からの記録を読みやすく

「公文書現代文訳プロジェクト」を手掛ける及川さん

「公文書現代文訳プロジェクト」を手掛ける及川さん

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 サイバーシルクロード八王子(八王子市明神町2)で3月2日、幕末からの近現代に注目し、これまでに作られた公文書を読みやすくすることを目指す「公文書現代文訳プロジェクト」のセミナーが行われる。

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 1853年に日本の開国を要求するために米海軍のマシュー・ペリーが来航してから、1989(昭和64)年の昭和末期までの間に作られ、国立公文書館や同アジア歴史料センターなどに保存されている公文書を現代人にも読みやすくしようと有志が集まり立ち上げた同プロジェクト。今年4月に非営利目的の一般社団法人を立ち上げるのを前に、プロジェクトについて知ってもらおうとイベントを行う。

 「今の時代から過去を評価するとしても、その時はその時の事情があったはず。だとしたら、その時の記録をそのまま出すことができないかと考えた」とプロジェクトを手掛ける及川正稔さん。公文書は原書が残されているのみで、古いものについては旧漢字が使われ言い回しの違いなどもあり決して読みやすいものではないことを受け、現代人でも分かりやすく読みやすくできないかと考えたという。

 「歴史の解釈は人それぞれ。しかし、公文書は当時書かれたものだし、公的に記録されたものなので信ぴょう性は高い。それをそのまま現代訳したらどういうものが見えてくるだろうかとお話しすると皆さんが面白いといってくれるものだから、やらないとまずいかなと思うようになった」とほほ笑む。

 「みんなで作ってみんなで使う」がコンセプト。歴史学者の伊藤隆東京大学名誉教授の協力を得ながら寄付などをベースに運営していく方針で、2月24日からプロジェクトの周知の意味も込めてクラウドファンディングを立ち上げるほか、3月からは現代語訳などを担当するボランティアスタッフの募集も始める。作業については「宝探しみたいなもの。地味で泥臭い作業をこれからずっとやっていくという遠大なるとんでもないプロジェクトになる」としており、当初は3年かけて高校3年生レベルで扱う代表的な公文書について手掛ける方針。

 訳文についてはネット上で公開することにしており、将来的にはポータルサイトを立ち上げて若い人たちにも利用しやすいものにしたいという。「将来を担う世代が日本の近現代史について自ら学べる場、知る機会を作り、国の現在と将来について考えるきっかけを残すことが必要」と呼び掛ける。

 開催時間は16時~17時。参加無料。

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