工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」が8月10日、秋田県大潟村で行われていたソーラーカーレース「ワールド・グリーン・チャレンジ2018」でグランドチャンピオンに輝いた。
今月7日から大潟村ソーラースポーツライン(秋田県大潟村)で行われた同大会。8日からの本選では、1周25キロのコースを3日間、25時間走って総走行距離を競った。同チームが参戦するのは2016年以来2年ぶり。
昨秋、オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断する「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」に合わせて作られたソーラーカー「Wing」で挑んだ同チーム。初日=17周、2日目=16周、3日目=16周の49周を走行。2日目に車両が横転し搬送されたことから、1周分のペナルティーを受け、記録としては48周という結果になったものの、2位に2周差を付け総合順位1位でゴール。これまで同大会に参戦した4回すべてを優勝で飾ることとなった。
大会初日からほかの車両に衝突されるなど各日トラブルが起きた。特に2日目に起きた車体の横転については、一時、順位を逆転される場面も。キャプテンを務める先進工学部機械理工学科3年の尾崎大典(だいすけ)さんは「大変な戦いが3日間続いた。2日目は昨年の世界大会を思い出すほど。かなりピンチだと思った」と振り返る。
「ドライバーやピットの動きなどでは、ほかのチームを圧倒できたと思う。秋田では絶対に1位を取りたいと思っていたので、ほっとしている。ドライバーのスキルやさまざまな面でレベルアップすることができたので、来年の世界大会に向けて良い糧になった。この経験をばねに次の車両もいいものを作りたい」と意気込む。
今大会がラストランとなった、ドライバーで工学部機械工学科4年生の石川はるかさんは「楽しく、悔いなく終わることができたのでとても満足している。トラブルがあったからこそレースであることを実感できた。切磋琢磨(せっさたくま)し争いながら勝てたことに価値がある」と話す。ドライバー生活を振り返り「波乱ばっかりだった。それがいい経験になった」とした上で、「トラブルなどマイナスになることはレースでは日常茶飯事。そこであきらめず、ネバーギブアップで頑張ってほしい」と後輩にエールを送る。
監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授は「今回のレースは格別なうれしさがある。整備が早くなっただけでなく、いかに故障しないかといった細かいところも気にするようになるなど学生も成長した」と話す。昨年のWSCを引き合いに出し、「エネルギーマネジメントや天候予測といったオーストラリアでだめだった点をいかに克服するかというところもうまく動いた」とも。
「今、新しい車を設計しているが、車体も世界1レベルに持っていかなければいけないし、学生も世界レベルにしなければいけない。まだまだ足りないところはある。今回のレースは良い勉強になった」と来年開催されるWSCに向け気合を入れる。