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日野市が「絶対に人に見せてはいけない職員手帳」 市長が新入職員に手渡す

辞令交付に先駆けて手帳を手渡す大坪冬彦日野市長

辞令交付に先駆けて手帳を手渡す大坪冬彦日野市長

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 日野市は2月18日、大坪冬彦日野市長から新年度に採用する予定の新入職員に対し、新たに製作した「絶対に人に見せてはいけない職員手帳」を手渡す式典を行った。

市長自ら手帳の内容について紹介

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 日野という街について知ってもらおうと、市職員による「日野の魅力発見職員プロジェクトチーム」が製作した手帳。通常の職員手帳は職務規定などをまとめたものだが、今回は全職員へのアンケートを基に「日野市って、どこにあるの?」など街に関する情報のほか、「なんでそんなにタテ割りなの?」「日野市役所への通勤って、坂だらけじゃない!?」など日頃の思いをQ&A形式でまとめた。

 95ページの手帳本体のほか、帯にも「日野市職員たるもの、日野にまつわるウンチクを大いに語るべし」「本手帳を許可なく第三者に見せてはならない」「愛する家族、信頼のおける友人、良きライバルには『ここぞ』というときにだけ、本手帳をチラ見せ、自慢しても良いこととする」などの注意書きを添えた。

 今月8日に臨時職員などを含めた全職員に対して配布。今回はそれに続く形で、辞令交付に先駆けて新入職員に手帳が手渡された。代表して手帳を受け取った熊谷あさかさんは「中身は深い内容だが、イラストもかわいらしく見やすくていい」と話す。大学進学に合わせて上京した熊谷さんは、地元に近い豊かな自然などを日野の魅力に挙げる。「日野市に魅力を感じてより思いを高めるため働きたいと思ったので、魅力をより一層知って広げていきたい。市民の方に寄り添った仕事がしたい」とも。

 2017年に行われた認知度調査で市外での日野市の認知度が低かったこともあり、新たな形のシティープロモーション活動の一環として手帳を企画し、約1年かけて作った。プロジェクトに携わった市広報担当の塩入広樹さんは「今までのPR活動では日野の魅力が伝わっていない」と話す。

 近年では新選組の街として売り出してもいるが、「新選組と日野市が結び付いていなかったりする。ほかの自治体も行っているような普通の広報活動やシティーセールスだけでは足りないと思い、発想をちょっと変えて市の職員一人一人から魅力を発信していくような形にしていかなければならないと思った」。そこで、今回は日野の魅力を職員から本音で集め、見える化し共有していくことをコンセプトに据えたという。

 手帳を配布したことによる効果を今後、どう判断するかなどの課題はあるが、「本音の本を作った。この中にはそれぞれの職員ごとに新たな発見があると思う。今までの市民とのコミュニケーションにプラスアルファして、この手帳から得たうんちくや魅力を実感し発信していってほしい。こういう新しい取り組みを市から発信できることをメタ的にくみ取ってもらって、日野市を良くするような動きが新たに出てくることが一番望ましい。第二、第三の何かが生まれてほしい」と期待を込める。

 大坪市長は「いろいろなことを聞いて、職員なりに答えを出したのがこの手帳。規則やルールではなく、暗黙知として共有されているものをまとめた。この本が職員の働きがいや日野への愛着に結び付き、日野市をアピールする思いにつながれば」と意気込む。

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