「ご当地ユーチューバー」として活動している中野智行さんが3月3日、ユーチューブで評価を高めるためのノウハウなどをまとめた動画を公開し話題となっている。
洋品店「イツミヤ」(八王子市八幡町)を営み、地元商店会の会長も務めながら、地域の活性化を目指してユーチューブへ動画を投稿している中野さん。2018(平成30)年に架空の街「八王子国」の情報番組というコンセプトで地元の飲食店に出向き食事をするシリーズを立ち上げると、チャンネルへの登録者数が1万人を超えるなど大きな話題を呼び、雑誌などさまざまなメディアで紹介され、ユーチューブにまつわる講師を務めるなど「ご当地ユーチューバー」として知られるようになった。
中野さんは今月7日、八王子市生涯学習センター主催による市民講座「地元ユーチューバーに学ぶ、ソーシャルメディア活用術」で講師を務める予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため中止が決定。
これを受け、「YouTubeの始め方&伸ばし方!登録人数増やし方!フォロワー0人からのYouTube講座!」と題して、動画制作に当たり大切にしていることや、テクニックなどをまとめた約30分の動画を作り上げ投稿したところ、2日で2500回以上再生された。「とてもためになった」「何事においても当てはまる内容」「目からうろこ」(以上、原文ママ)など100件以上のコメントが寄せられるなど話題となっている。
講座には定員70人のところ、2倍強の応募が寄せられるなど前評判は上々だった。しかし、「今回、全部なくなってしまって申し訳ない」と中野さん。その上で、「ここ1年、全国からまちおこしをやりたい方が店を訪ねてきてくれる。ただ、わざわざ八王子に来てもらうのは申し訳ないと思っていた。出し惜しみするものでもないので、動画でやってしまえば早いと前から思っていた」と動画を作った経緯を明かす。
撮影に当たっては店の壁に自ら壁紙を貼り、即席のスタジオを仕上げたほか、仕事終わりの深夜に3日がかりで撮影するなど力を入れたという。内容は技術よりは、「初心者にとってオタクの知識は価値」(原文ママ)としてコンテンツ作りに重きを置き、ユーチューブの現状分析や視聴者とどうやって向き合うべきかなどについても多くの時間を割いている。
「講演会をやらせていただいて、受講者の皆さんとの間で感じた誤差を書き留めていた」と中野さん。「メディアは今、全員のポケットの中にあるが、メディアリテラシーは教えられていない。メディアを持った人に最低限必要なモラルなどがない状態で始めてしまうからトラブルにつながるし、SNSがどういうものをガソリンにして動いているかも知られていない。そういうことも言わなければいけないと分かってきた。取りあえず全部しゃべっておこうと思い撮影したら長すぎて、編集してこのサイズになった」とも。
中野さんはユーチューブについて、「まちおこしの必須ツール」と評価する。投稿者に対して、「好きなことをやれば良いし、好きじゃなければ無理」と断言した上で、「ソーシャルグッドなことがしたいという思いは分かるが、それだけだとうまくいかない。好きなことをまずやって、ファンづくりからするべき」とアドバイスする。