古民家ダイニング「となりわ」(八王子市横山町)と八王子駅南口のレストラン「Kitchen ROCCO(キッチン・ロッコ)」(子安町3)がコラボし、料理のレシピやコツを教える動画コンテンツの第1弾が5月15日、ユーチューブで公開された。
「厨房(ちゅうぼう)の音」と名付けられた今回のプロジェクト。家庭でできる料理のコツなどを紹介していくもので、第1弾はペペロンチーノを題材にした。
今回の動画では、両店の若手シェフが出演し調理法をレクチャー。それをキッチンロッコの「タロウ」こと中野太郎さん、となりわの「ロッパチ」こと藤田佳久さんの2人が解説やツッコミを加えていくスタイルを取っている。解説を別にしたのは「水曜どうでしょうが好きなこともあって、DVDの副音声を意識した」と藤田さん。レシピの詳細はメディアプラットフォーム「note」に掲載するなど工夫している。
飲食店のプロモーションツールとして、以前から動画を使ったコンテンツを考えていたという。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、「時間が空いた今、一気にやっちゃおうと話がまとまった」と中野さん。藤田さんは「レシピをオープンソースにして、家で近いものが食べられるようにすることに焦点を当てた。店の名前でユーチューブのチャンネルを作るのは粋ではない。厨房の中にはいろいろな音があるので、映像と音を駆使しようと『厨房の音』という名前にした」と話す。noteにレシピを公開することから、「厨房」「ノート」の意味もあるという。
初回にペペロンチーノを取り上げたのは中野さんのアイデア。「ペペロンチーノは全てのパスタのベースになるもので、実はレベルが非常に高い。ここを教えることで、次にクリームパスタやトマトパスタといったものへと導入しやすくなる。ベースとして応用が効くものをやろうと思った」と中野さん。
実際のレシピは出演する若手シェフに考えさせており、スタッフ教育の面でも効果があるとみる。「淡々と作り続けることはできても、しゃべりながら作るのはなかなか難しい。料理教室を前からやりたいと思っていたが、動画を発信することで新しい層を獲得し、彼らがアイドル的な存在になって、呼ばれるようになったら面白い」と中野さん。藤田さんも「技術向上につながるし、どう見られるか意識することで変わるところもあると思う」と話す。
今月27日には第2弾となるアヒージョ編を公開。今後は週1本のペースで動画を公開していく予定。「ロッコととなりわの日常も伝えていけたら面白い。これを機にほかの飲食店との横のつながりも広げていけたら」と中野さん。「メニューのオープンソース化」が1つのコンセプトだが、「どれだけオープンソースにしても店で食べる味とは違うし、100%教えることはまず不可能。ペペロンチーノもコックによって癖が出て正解がない。ちょっとしたポイントを教えたら、ある程度できるようになるというだけ。実際作ってみて、ちょっと違うと思った時には店に来てくれたらありがたい」と期待を込める。
藤田さんは「みんなで市場に買い出しに行くところから始めてもいいし、ゲストを呼んで食べてもらっても良いかも。いろいろやってみたいし、可能性を模索していきたい」と意気込む。