八王子市が9月1日、都内で初めてスマートフォンアプリを使って防災行政無線の放送内容を音声で配信する取り組みを始める。
目の前に浅川が流れ、改定されたハザードマップで浸水予想区域に含めた八王子市役所
石森孝志八王子市長が、8月28日に行われた記者会見で明らかにした。市は昨秋の台風19号襲来の際、豪雨の中、緊急放送の音声が聞き取りにくいなどの声があったことから、避難情報などを確実に伝える体制を整備しようと計画。本年度予算に、789万円を計上し進めていた。防災行政無線の緊急放送を、アプリを使って配信するのは都内初。
今回は住民向け防災放送アプリ「コスモキャスト」を使って、防災行政無線で放送したものと同じ音声を配信する。毎日17時1分に放送される「夕焼け小焼け」のチャイムなどの定時放送は配信しない。放送から数秒の遅れはあるもののほぼ同時に配信されるほか、アプリをインストールしていれば、マナーモードであっても音声が再生されるという。利用時には郵便番号の登録が必要で、アプリの利用は無料だが、通信量は利用者負担となる。
石森市長は「防災行政無線は災害時に即時に情報を発信できることが最大の利点だが、屋外スピーカーから放送するため雨の日や室内にいるときは聞き取りにくい状況にあった」とした上で、「市民の皆さんが情報を入手する選択の幅を広げ、より高い防災力を備えるための一助に活用していただけるよう積極的に普及を図っていきたい」と話す。
市ではこのほか、都営住宅の空き住戸や共有部分を水害時の緊急避難先として利用できるよう、8月31日に東京都と協定と覚書を締結することも明らかにした。9月から配布を始める「八王子市総合防災ガイドブック」第2版に掲載されたハザードマップでは、市役所を浸水予想区域に含めたことを受け、9月中には浅川に面した市役所出入り口に止水板を設置するなど対策を進めていくことも紹介。
石森市長は「災害時の対応を担う防災課が地下1階にある。浸水したら困るので、早急に上の階に移動させるよう検討させている。できるだけ大きな被害が出ないように取り組みを進めていければ」と説明した。