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八王子で障がい者アート商品化プロジェクト クラウドファンド目標額達成率400%に

完成したトートバッグを手にするYORIKOさん(写真中央)と「しあわせのたね」の和田隆夫理事長(右)

完成したトートバッグを手にするYORIKOさん(写真中央)と「しあわせのたね」の和田隆夫理事長(右)

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 八王子の障がいを持つ人々が描いた絵を商品化し期間限定で販売するプロジェクトが11月30日、クラウドファンド支援の締め切りを前に当初目標額の達成率が400%を超え、ネット上で話題を集めている。

制作の様子

 デザイナーで「にぎわい空間作家」をうたうYORIKOさんが手掛ける同プロジェクト。YORIKOさんは八王子市夢美術館近くの、就労支援作業所利用者の就労の場でもあるカフェ「たねカフェ」や、障がいを持つ人のクリエーティビティーを生かした作品をオリジナルグッズにして製作・販売するアートショップ「ちいさなたね」(それぞれ八王子市八日町)の内装などを手掛けたことでも知られる。

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 YORIKOさんは新たに立ち上げたニューモア(三鷹市)の事業として、障がい者福祉施設の利用者が描いた絵を商業デザインに落とし込む「想造楽工(そうぞうがっこう)」を開始。今回のクラウドファンディングでは、「想造楽工」で生まれた商品を期間限定で販売している。運営にあたっては、作品展の開催など、さまざま事業を行っているNPO法人「AKITEN」などが協力する。

 「たねカフェ」「ちいさなたね」などを手掛けるNPO法人「しあわせのたね」(八王子市みつい台1)の利用者3人のイラストを採用。陶器作家の上島かな子さんや奥田染工場(中野上町1)、パン店「グルヌイユ」(下恩方町)、「ブーランジェリー サルドゥバン」、梅干し専門店「うめ八」、スペシャルティコーヒー専門店「Khazana Coffee(カザーナコーヒー)」(以上、本町)などとコラボし商品化にこぎ着けた。

 10月17日にクラウドファンディングサイト「READYFOR」で販売を開始。目標額を達成した時に資金が支払われる「All or Nothing(オール・オア・ナッシング)」方式を取る。3,000円~15万円のコースを用意。3,000円コースはポストカードや作品集をセットにした「ごあいさつセット」、6,000円コースは、イラストをデザインしたトートバッグなどをまとめた「衣セット」、作品集と併せて上島さんの陶器などをセットにした「食セット」、ポスターと多摩産材を使った額装などをセットにした「住セット」を展開する。オリジナルイラストなどの受注制作を請け負うコースも用意する。

 当初は50万円を目標としていたが、開始直後に達成。改めて200万円を2次目標として設定したが、こちらも期限を待たずに目標を達成。11月20日時点で130人以上から申し込みを集めるなど人気となっている。

 事業の立ち上げに当たっては、「ちいさなたね」や「たねカフェ」に携わったことがきっかけになったという。重度の発達障がいを抱える家族と共に暮らしてきたというYORIKOさん。「それをこれまで自分の仕事に出したり、人に言ったりはしてこなかった。仕事でお子さんや地域の人に絵を描いてもらい、空間づくりに生かしてきたが、施設の利用者の皆さんに描いてもらったらどうなるだろうと試しに描いてみてもらったところ、でき上がったものに度肝を抜かれた。こういう世界観を生み出すことができるんだとびっくりした」と振り返る。「その驚きと自分の境遇が重なって、すてきな絵を描く人たちと仕事ができないか、イラストとデザインを合わせることで仕事の創出が図れないかと思った」と話す。

 「障がい者アートやデザインを使いたい企業はたくさんいるものの、これまでは描いたものをそのまま展示するような使い方が多かった」とプロジェクトに協力する「AKITEN」の及川賢一さん。「アーティストとしてさまざまなところでコミュニティーを作り、デザイナーとしていろいろな広告などを手掛けてきたYORIKOさんが間に入り、障がい者アートやデザインをうまくコーディネートして、クオリティーを高めた上で展示や広告、装飾に生かすことで、ビジネスとして回るのではないかと思った。今までこのような取り組みはないのでは」とも。

 今回のクラウドファンディングは、「これまでのストーリーを知らない人に伝えるため」とYORIKOさん。「『こういうことがやりたいので応援をしてほしい』と届けるためには、クラウドファンディングが一番だと思った」。購入者からは「商品がすてき」「こういう取り組みを欲していた」などの反響が寄せられており、「目標の50万円はクリアしなければと思っていたが、ここまでになるとは思っていなかった」と驚きを隠さない。

 仕事を受注し納品した後は、必要経費を差し引いた利益を折半し、その内、イラストを描いた作者に7割、福祉サービス事業所に3割を支払うなど障がい者の待遇改善も目指す。「手探りなところはあるが、仕事として絵を描いてもらい、それに見合った対価を払いたいというのが掲げている目標。デザインとイラストは対等だと思うので折半にした」とYORIKOさん。「障がいうんぬんではなく、普通に絵が身の回りにある状態にするのが野望。全国のいろいろな方と会って、一緒にやりたい」と意気込む。

 クラウドファンディング募集は11月30日23時まで。

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