KDDI(千代田区)は12月1日、複合型宿泊研修施設「LINK FOREST(リンクフォレスト)」(多摩市鶴牧3)内に設けた「KDDI MUSEUM(ミュージアム)」「KDDI ART GALLERY(アートギャラリー)」の2施設の一般公開を始める。
「LINK FOREST」は、企業向けの教育・研修などを手掛けるKDDIラーニング(鶴牧3)が運営する施設。京王線・小田急線の多摩センター駅から徒歩約10分、多摩郵便局近くに立地する。ホールや研修室、利用者向けのレストランやラウンジ、コンビニエンスストアなどが設けられている。今回は同施設の2階にそれぞれ設けた。
「KDDI MUSEUM」は企業ミュージアムとして、日本の国際通信の歴史や、auブランドで展開する歴代の携帯電話などを一堂に展示。旧KDD小山送信所の建物を利用し、歴史的な通信設備や機器、資料などを展示していたものの、2013(平成25)年に休館した「国際通信史料館」の展示品を移設し、再構成するなどした。
館内は4つのゾーンで構成。「日本の国際通信 -世界とつながる-」では、1871(明治4)年に長崎~上海間、長崎~ウラジオストク間で敷設された海底電信ケーブルや、ペリーが江戸幕府に献上した「ぜんまい仕掛けのモールス電信機」の複製、KDDIの前身であるKDD時代の送信所の設備、1969(昭和44)年に打ち上げられた通信衛星「インテルサットIII号」予備機の実物などを展示する。そのほか、通信自由化以降、2000(平成12)年にKDDIが設立されるまでを紹介する「通信市場参入と挑戦の軌跡 -暮らしを変える-」、KDDIとなって以降auブランドで発売された携帯電話の端末を展示した「au Gallery」などを見ることができる「KDDIの挑戦 -未来を共につくる-」、5Gに関わる製品やサービスなどが体験できる「EXHIBITION: au 5G」を設ける。
「KDDI ART GALLERY」は、KDDIが所蔵する美術作品を一堂に集めた美術館。テオドール・ルソーやエミール・ガレ、国内からは東山魁夷や平山郁夫など開館時点で67点の作品を展示する。開館に当たって、企画コンサルティングを高島屋が手掛け、美術家で多摩美術大学の海老塚耕一教授らが協力。日本画のコーナーでは、作品をカバーする透明パネルに三菱ケミカルが手掛ける反射防止フィルム「モスマイト」を採用することで、目の前に立っても人の姿が反射しないようにした。各作品にQRコードを取り付け、スマートフォンなどで作品の詳細を知ることができるようにするなど工夫した。
当初、6月にオープンする予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、開館を延期。「KDDI MUSEUM」は、8月に展示内容を高画質3D静止画として撮影し、バーチャルコンテンツとして専用サイトで公開するなどしていた。
開館に当たり、同社は「KDDIは、『通信とライフデザインの融合』を推進し、『ワクワクを提案し続ける会社』として、企業ミュージアムやアートギャラリーの運営においてもさまざまな体験価値を想像していく」と説明する。
両施設共に見学は事前予約が必要。「KDDI MUSEUM」は、11月25日15時から完全予約制のガイドツアーの予約受け付けを始める。ガイドツアーは90分制で、平日10時、13時30分、15時30分の3回実施。定員は15人。同館ウェブサイトで申し込みを受け付ける。「KDDI ART GALLERY」は、メールや電話で予約を受け付ける。
開館日は、「KDDI MUSEUM」=月曜~金曜、「KDDI ART GALLERY」=水曜・金曜(それぞれ祝日を除く)。開館時間はいずれも10時~17時。入場無料。