八王子発のアウトドア商品などを扱うオンラインショップ「コンナヨルニワ」が開設して1カ月がたった。
古民家ダイニング「となりわ」(八王子市横山町)や薫製食品の加工場「けむりの」(小門町)などの事業を手掛けるグッドネイバー(横山町)が始めた同ショップ。サイトは6月15日に立ち上げた。一部の商品は「となりわ」の店頭でも紹介している。
金属材料店の八王子工材(八幡町)が企画・開発したたき火台、小沢製作所(美山町)によるメスティン用たき火台「M-8ストーブ」(3,300円)など地元企業が手掛けるアウトドア商品や料理に使えるスパイスなどを取り扱う。今春に立ち上げたオリジナルブランド「gantez works(ガンテツワークス)」の「火起こしセット」(2,200円)などの商品も並ぶ。
イベントなどでの出張販売とオンラインショップを両輪として回していくことから、「旅するアウトドアショップ」をコンセプトに据える。プロジェクトに携わる藤田佳久さんは「八王子は町工場が多い。町工場発のたき火台のようなものもちょこちょことある」と説明。「ギアマーケットなどのアウトドアイベントや、キャンプ場の端で展示販売をし、そこには遠くて来られない方のために通販をやっていければ動きやすいし、自分たちでイベントをやることもできると思った」と話す。藤田さんいわく、「キッチンカーのようなイメージ」とも。
「M-8ストーブ」については、藤田さん自らも製品開発にも関わるなどコラボも積極的に進めているという。「このストーブはメスティン(=飯ごう)専用。ばらすことでメスティンの中に入れて、キャンプに持っていくことができる。固形燃料一つでご飯が炊けるし、メスティンに特化しているので、ずれもない。ポケットストーブはいろいろ出ているが、ここまで特化しているものはなかなかない」と藤田さん。「『となりわ』で料理を提供する際に使ったところ、皆さんに楽しんでもらえた」と振り返る。
「ガンテツワークス」としても、オリジナルのたき火台やコンパクトテーブルといった新製品の開発を進めている。分解後、A4程度のサイズに収めるなどコンパクトな製品を目指しており、藤田さんは「沢釣りなどでは荷物が少なくするため、コンパクトなものが欲しい。気軽にリュックサックに忍ばせて使えるものを中心に出していきたい。防災用品としても、かばんの中にあって良いかなと思うものが作れれば」と話す。
「なぜこの街で作っているかといえば、新しい産業とまではいわないが、新しい仕事が生まれるような環境を作りたいから。新潟の燕三条のように、もともと金物がメインだったところがキャンプメーカーの街になったところもある。本職が作ればすごいということがじわじわと気付かれたからこそだと思う」と藤田さん。「仕入れ先などが元気になり盛り上がっていくことで、八王子がアウトドアの街になり、工場見学も含めてイベントなどもできるようになるところまでたどり着けたら。そのためにも、すぐまねできそうなものは作らない。同じような製品があっても欲しくなるようなストーリーを付けたものを作りたい」とも。
ショップについては、「少量生産なので、売り切れ御免のところはあるが、自分で使いたいものや仲間に使ってもらって良かったものだけを厳選している。飲食店の『本日のおすすめ』のようなショップとして見てもらえたらいい」と藤田さん。「身近なところにガレージブランドのメーカーがある。協力できるところは担えれば。世の中に出ていないような無名ブランドの方への声掛けもしていきたい。八王子のアウトドア色をどんどん強く打ち出していき、アウトドアをキーワードに事業者同士がつながっていくような形になれたら面白い」と意気込む。