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沈金師・春日友子さんの作品がパリに登場 公募展「サロン・ドートンヌ」入選

今年の「サロン・ドートンヌ」で展示された作品「己」(写真撮影=小山内祥司)

今年の「サロン・ドートンヌ」で展示された作品「己」(写真撮影=小山内祥司)

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 八王子を拠点に活動する沈金師・春日友子さんの作品「己(おのれ)」が10月28日、フランスのパリで始まった公募展「サロン・ドートンヌ」で展示された。

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 現地時間の同31日までパリのシャンゼリゼ通りを会場に行われた同展。春日さんは地元出身・在住で、刃物で文様を彫り、そのへこみに漆を刷り込んだところに金粉や銀粉、色の粉を沈めて模様を描く沈金を本業とする。今回は同展への入選を受け、作品が展示された。

 8月に国立新美術館(港区)で行われた「日本・フランス現代美術世界展」にも作品を出展するなど精力的に活動している春日さん。「サロン・ドートンヌ」への挑戦は今回が初めて。「100年以上の歴史がある秋の展覧会で、有名なところだとマティスやピカソなども出展した」と春日さん。「アーティストの登竜門と呼ばれているものでもあるから自分の力を試してみたいという気持ちがあった」とも。

 今回は学生時代にミミズクをモチーフにし製作した作品を出品した。「経年変化を予測し、くちばしの部分のみ透明な漆で薄くコーティングをするなど実験的に作ったもの」と春日さん。製作から約20年がたち、「漆でカバーした部分は銀の輝きを失っていない。しかし、周りの羽の部分などはじわりと経年変化をしている。20年がたち重厚感が出てきた。経年変化をしたがゆえに重厚感が出たが、後5年たったらどうなるか分からない。このタイミングで皆さんに見ていただこうと思った時に、出品代理店から『サロン・ドートンヌ』への推薦状をいただけたので挑戦しようと思った」と話す。

 今回の入選に「正直うれしかった。やっぱり出すタイミングだったんだと思う。20年の重みは大きい」と春日さん。「私は海外に1回も行ったことはないが、作品はどんどん海外に行ってくれている。まるで分身の私が行っているようなもの。『行っておいで』と送り出しているような感じ」とも。昨年11月に「ギャラリー芙蓉(ふよう)」(八王子市横山町)で行った春日さんを含む女性作家3人による作品展「3人展 時のかたち」の場で、「皆さんに『サロン・ドートンヌ』に挑戦すると話し入選を祈願していただいた。おかげでこのようなうれしい結果を出せた」と話す。

 今後については「一発屋で終わりたくはないので、来年も『サロン・ドートンヌ』に挑戦したい」と意気込む。「トレンドよりは自分が良いと感じたもの、自分の感性が表現できたかどうかだけ。ライバルは自分。自分の精神力や体力を保って、毎年順当に出せる体制を整えていくことが大事」とも。

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