「はちおうじ高次脳機能障害者家族会『はっちゃん』」(八王子市椚田町)が11月21日、「当事者・家族 個別相談会」を初開催する。
八王子における高次脳機能障がい者の当事者・家族会として、2017(平成29)年から活動する同会。交流や情報交換、講師を招いての講習会などを通して、本人や家族が安心して生活できる場づくりを行っている。
今回は八王子市生涯学習センター(通称=クリエイトホール、東町)を会場に同会として初めて当事者や家族、言語聴覚士、作業療法士が話を聞く相談会を企画した。市内在勤・在学・在住者を対象に4組を定員として、現地やオンラインで相談に対応すると呼び掛けたところ、次々と参加の声が上がり相談枠は埋まったという。
同会事務局の江村俊平さんは「定員には達したものの、次回開催のための備えに加え、急ぎの相談希望者のため、個別に機会を設けようと考えている」と話す。「落ち着いた感染状況が続くようであれば、定例会なども再開していく予定。より多くの当事者ご家族と交流し、情報交換できる場を提供したい」とも。
コロナ禍でこれまで定例会なども開催できなかったという同会。今回の相談会がコロナ禍以降、初のイベントになるという。「感染状況も徐々に落ち着いてきたが、定例会を開催する前にまずは小規模の相談会を開催し、徐々に活動を再開したいと考えた」と江村さん。
脳卒中などの疾患や交通事故などによって、記憶力の低下や注意障がい、行動障がいなどさまざまな問題が起きる高次脳機能障がいだが、江村さんは「コロナ禍の間は病院も面会制限があり、当事者や家族に障がいについての十分な情報提供がされないまま退院となるケースが多くあったようだ」と話す。「そのような当事者や家族に参加いただき、退院後の困りごとなどについて相談に乗っていきたい」。相談内容は障がいに関するものに加え、医療機関の利用方法や就労支援、利用できる福祉制度や金銭的制度、家族関係に関するものなど多岐にわたるという。
市も2018(平成30)年から「八王子市高次脳機能障害者支援促進事業」を立ち上げ、相談窓口として「八王子市高次脳機能障害者相談室はっぱ」を設けるなど取り組みを進めている。「高次脳機能障がいはまだ社会の認知度も高くはなく、名前をご存じない方も多いと思う」と江村さん。
「脳損傷の後、仕事のミスが多く、職を転々とするなど、何年も苦労を重ねた後、ようやく自分が高次脳機能障がいであることを知ったという方に会うこともある。『はっちゃん』は近隣の市区町村の中では比較的新しい当事者家族会だが、多くの方が参加している。当事者や家族がこの障がいとどのように向き合い、前に歩んでいるのか。興味のある方はぜひ参加してほしい」と呼び掛ける。