メキシカンタコスの専門店「TACOSUAVE(タコスアベ)」(八王子市本町、TEL 042-649-7686)が甲州街道(国道20号)「八日町」交差点近くのみずき通りにオープンして1カ月がたった。オープン日は11月19日。
カウンター席5席とテーブル席を用意。北海道で育った在来品種のトウモロコシ「八列とうきび」から手作りしたトルティーヤによる「タコスアルパストール」(400円)や、豚肉などでだしを取り大粒のトウモロコシを入れたメキシコの伝統的なスープ「ポソレ」(650円)などのメニューを展開する。
店主の安部正成さんは「メキシコのものを日本の食材を使ってやってみようと頑張っている。畜舎ではなく放牧で飼われたものなどアニマルウエルフェアに配慮し環境負担が少ない食材を選ぶようにしている。八王子に引っ越してきて約3年だが無農薬の野菜も手に入りやすく、ありがたい環境。自分で土地を借りてトウガラシなどを育てているので、それも使っている。できるだけ地物やオーガニックなものを使いたい」と話す。
30~40代の客が多く、テークアウト利用も多い。「海外の方やメキシコにずっと住んでいた方からもおいしいと言ってもらえる」と評判は上々だという。
大学生の時にはメキシコ料理店で働いていた安部さん。「25年くらい前から何度もメキシコに行っている。特にメキシコシティは東京のラーメン店の比じゃないほどにタコス店がひしめいている。道路沿いで出合ったタコスが思い出深く、それが日本にもあっていいと思った。日本のタコスはアメリカや沖縄を経由して入ってきているので少し違う。メキシコっぽいタコスをやろうと思った」ときっかけを説明する。
さまざまな場所でイベント出店をしてきたほか、9月まで同所で営業していたアジア料理店「PePe(ぺぺ)」を間借り営業もしていた。「PePe」が店を畳んだことを受けて、場所を引き継ぎ外装や店内をリニューアルした上でオープンにこぎ着けた。
店名はスペイン語でタコスを意味する「TACO」と柔らかいを意味する「SUAVE」を組み合わせた。タコスと安部さんの名字を組み合わせたダブルミーニングにもなっている。「メキシコ人の友達から、『トルティーヤはSUAVEだから。しかもあなたの名前は安部でしょ』と言われた」と安部さん。
店内の壁や柱には絵や言葉が描かれており、中には高尾山のカエデや、からすてんぐの要素を取り入れたものもある。「内装は友人のデザイナーにお願いした。ペンキを使って絵を描いている方で、私たちの世界観を理解してくれている。壁に直接ペンキで絵を描くのがメキシコの特徴。今はメキシコでもそのような内装の店は減ってきているが、ローカルっぽいメキシコの店をイメージした」と話す。
今月22日まで写真家・三浦麻旅子さんによる、12月12日のメキシコの「グアダルーペ聖母祭」の様子を撮影した写真展を開催。今後もイベントの開催を見込む。「人と人とのつながりをもっと大事にしたい。よく分からないご時世だからこそ楽しい店になれば。いろいろな楽しみをつくっていきたい」と意気込む。
営業時間は16時~21時。月曜・火曜定休。