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拓殖大生が「八王子城跡の折り紙製かぶと」デザイン 裏表でモードチェンジも

「おりかぶと」を手掛けた阿久根さん(中央)と工藤教授(左)、菅野課長

「おりかぶと」を手掛けた阿久根さん(中央)と工藤教授(左)、菅野課長

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 拓殖大学の卒業生が在学中にデザインしたオリジナルグッズ「おりかぶと」が現在、「桑都日本遺産センター 八王子博物館」(八王子市子安町4)で販売されている。

「はちはく」では、「おりかぶと」を展示するコーナーを用意する

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 2月11日から販売している同商品。75センチ大の防水紙の両面にデザインを印刷しており、表示通りに折ることでかぶとができ上がる。表と裏を返すことで「足軽モード」と「大将モード」にモードチェンジできるようになっており、できあがったかぶとは子どもが帽子の上からかぶることができる。

 同大学を2020年度に卒業した阿久根皐月さんが在学中にデザインを手がけた。阿久根さんは在学中、同大工学部デザイン学科の有志によるボランティアグループ「CDS(コミュニティーデザインサポーターズ)」に所属。八王子市と連携して進めた「八王子城跡の魅力を高めるデザインプロジェクト」に合わせて作品を作り上げ、今回、同館の公式グッズとして採用された。

 同プロジェクトについて、「八王子市城跡を実際に調査して問題点を見つけ、それを支援するためのデザインを一人1案の形で、みんなで考えた」と阿久根さん。「子どもでも楽しんでもらえるように、自分で作ることができるものとして折り紙を思いついた。かぶとの折り方は本を参考にしたが、どれも複雑な物が多かった。それだと子どもに折ってもらうには難しいと思ったので、自分なりに簡単にした。イベントにも使えるように雨の日でも大丈夫な紙にした」と工夫を明かす。

 モードチェンジは「もともとは八王子城跡のガイドと共に行く時、ガイドと客の区別が付きやすくしたかったから」と阿久根さん。当初は別々に分けて作ることを考えていたが、「作ってみたら難しかったし、『なんで2つも作らないといけないの』となる気がしたので、1枚で解決した。まさか販売まで行くとは思わなかった。それだけでびっくりしている。大変うれしい」とも。

 指導にあたった同大工学部の工藤芳彰教授は「私の研究室ではコミュニティーデザイン支援に取り組んでいるが、興味のある学生を集めて一緒にやるために作ったのが『CDS』。八王子城跡の存在を知ったのは約2年前で、こんな面白いところがあるんだと思っていたら、コロナ禍になった。外に出てはならないとなっている中でも学生には経験をさせたかった。八王子城跡は屋外。コロナ禍でも比較的活動しやすいということで、市の文化財課に何かできないかと持ちかけた」と話す。

 「おりかぶと」は「CDSの活動の中でも実用化にマッチしたものだったので、1年間かけて準備をして、ようやく日の目を見たもの」と明かす。「学生は自由に発想するのでアイデアはたくさんある。ただ、現実に販売されるまでには段階を踏まないと無理。なかなか商品化には結びつかない。阿久根さんは1年間で何回試作したか分からないくらいにものすごくエネルギーをかけ、完成度を高くしてくれた」と評価する。

 市生涯学習スポーツ部文化財課の菅野匡彦課長は「八王子はちょうど日本遺産の取ることができた時で、保存と活用という意味ではファンを増やすこともしっかりしていきたい場面だった。コラボはこちらとしては願ったりかなったりだった」と振り返る。

 「おりかぶと」の販売開始については、同館の開館も影響しているという。「商業施設の中にあるので、歴史好きの方ではない方も来るようになり、グッズの売れ行きも良い。われわれもグッズを求めていたし、商品化するしかないと思った。僕らの目的は歴史を理解してくれる人を増やすこと。楽しみながらより理解が深まるし、かなりの工夫を入れてくれたので、これはなんとしても商品化したいと思った」と菅野さん。

 「阿久根さんや工藤先生から話を聞き、コミュニティーデザインにかなりこだわりを感じた。そこに面白さやロマンがあると思った。八王子城跡をガイドする人が『大将モード』、従う人たちが『足軽モード』という絵を想像しただけでワクワクする。八王子博物館で八王子城跡のことを知って、かぶって現地に行ってほしい」と期待を込める。

 同館は昨年6月、八王子駅南口の「サザンスカイタワー八王子」3階に開業した。愛称は「はちはく」。八王子市郷土資料館(上野町)の展示室が昨年3月末に閉室し、同館の機能を新施設へと移転するまでの間の「仮移転先」となっている。高尾山を題材にした地域型ストーリーが「日本遺産」に認定されたことを受け、八王子の歴史文化を紹介する博物館と位置付ける。

 価格は400円。

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