エレベーターの操作盤や表示機などを手がける島田電機製作所(八王子市大和田3)の工場内展示物「1000のボタン」が今夏、リニューアル作業を終えた。
「社長賞」を受賞した「お客さまの年収では押せません」ボタンを実現
1933(昭和8)年創業の同社。2013(平成25)年に世田谷から八王子に移転。エレベーターホールに設置される到着灯や押しボタンなど、エレベーターの意匠にまつわるさまざまな製品を手がける。
「1000のボタン」は、一般向けの工場見学「工場のぞきみ見学会」のコースの途中に用意しているもの。見学会を始めた2020年秋に設置したもので、国内外で実際に使われているものや、オリジナルのものなどエレベーターのボタンを1048個展示する。
今回、「1000のボタン」の大規模リニューアルを計画。1月から新たに設置するエレベーターのボタンのアイデアを一般から募集した。募集期間中に677のアイデアが寄せられ、4月には「社長賞」として「お客さまの年収では押せません」と書かれたボタン、「社員賞」としてマヨネーズのふたを再現した「マヨネーズボタン」などを選び受賞作品として発表した。
受賞作品のほか、「開延長」ボタンをモチーフにした「休み延長」ボタンや、SDGsのアイコンをボタンにしたもの、オフ時は鏡になっているが押すとイラストが出てくる「マジックミラー」ボタンなど応募作品や、自社で新たに考案したオリジナルボタンを「1000のボタン」に実装する作業を行った。入れ替えたボタンの数は400で、作業は8月上旬まで2部に分けて行ったという。
年内に開催する工場見学は既に予約で埋まってしまっているが、東京たま未来メッセ(東京都立多摩産業交流センター、明神町3)で11月11日・12日に行われる「八王子ものづくりEXPO」の際には、「1000のボタン」の出張展示を行う。当日は見学会でも行っている、30秒でボタンを何個押せるか試す早押しゲームも体験できる。
同社広報担当者の大森早智さんは「1000のボタン」について、「エレベーターのボタンが大好きな子どもたちがたくさんいることを知った。押したいんだけど普段は押せないということで、ボタンを思う存分楽しんで、たくさんボタンを押してもらいたいと思い作った。思っていた以上に反響をもらった。この展示が当社を知っていただく入り口になった」と話す。
今回のリニューアルについて、「これだけ反響を頂いたので、みなさんがあったらいいなと思うボタンを募集して、それを取り入れられたら面白いんじゃないかと思った。私たちとしてもボタンの新しい可能性や面白さを知ることができる機会になると思った」と大森さん。「マヨネーズボタン」などアイデアを実際のボタンにし、組み込むには苦労をしたという。「くすっと笑えるようなものや押して楽しくなるボタンが増えたので、以前よりもさらに楽しんでいただける」とも。
「ただ物を作るだけの工場ではなく、見せる工場を目指していきたい。会社の良さや魅力を全社員が発信していけることを目標にしている。一般の方だけでなく、ステークホルダーの方も含めて、いろいろな相乗効果が生まれるようになったらいい」と大森さん。