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「八王子 100円ラーメン」が開店1カ月 持続可能なご当地フード目指す

オリジナルTシャツを持つ青木さん

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 ラーメン店「八王子 100円ラーメン」が12月26日、「桑都テラス」(八王子市中町)に開店して1カ月がたつ。

「八王子 100円ラーメン」の店舗外観

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 「桑都テラス」は飲食店や物販店など複合機能を備えた施設。八王子駅から徒歩約6分、西放射線通り商店街(ユーロード)沿いの中町公園近くに位置する。今回は八王子オーパ(旭町)5階のメダカ専門店「めだかやドットコム本店」などを手がける「めだかやドットコム」が新事業として店を開いた。開店日は11月26日。

 「100円ラーメン」「100ラン」の愛称で知られ、西八王子駅前で約40年にわたり営業し、2011(平成23)年に閉店したラーメン店「満福亭」をオマージュし、平日は100食、土曜・日曜・祝日は200食のラーメンを100円で提供している。店には調理場のみ設け、でき上がったラーメンは施設内の広場で食べるスタイルを取る。

 「めだかやドットコム」の青木崇浩社長は「桑都テラスを盛り上げてほしいと声をかけてもらった。当初はメダカでやってくれないかとのことだったが、ずっと前から構想を持っていた『100円ラーメン』をやろうと思った。桑都テラスは新しい老舗を作るのがテーマだと聞いた。八王子の文化として大切な『100ラン』を持続可能な形に落とし込むことで、新しい老舗を作り集客にも貢献できれば」と話す。

 小麦から麺を作り、うま味成分を調合した、たれには風味を出すために鶏油やラードを合わせるなどラーメン作りには力を入れている。「子どもの時に友だちと食べた、なんでもない味のラーメンを自分のイメージの中で再現した。子どもが100円を握りしめて来たら、ラーメンが食べられるという当時のノスタルジックな空間を再現したかった」と青木さん。

 「人間がおいしいと感じる水素イオン濃度を突き止め、水とたれが中和するところを狙うことで、味がぶれないようにしている。子どもたちがおいしいと思ったものは間違いがないので、試食は小学生に食べてもらった。うま味もしっかりしているラーメンなので、お客さまはみんなスープを飲んで帰る」とも。

 初日には550杯のラーメンを売り、その後も用意した100杯分が13時には売り切れるなど大きな話題となっている。「地方から泊まりがけで来てくれる人もいたし、大阪から来てくれたけど売り切れだったこともあった。週末は八王子の人が多い。みんな当時の『100ラン』を知っているので、よろこんでくれる」と青木さん。

 新たなメニューづくりを応援しようと、八王子市内のラーメン店も協力しているという。「『100ラン』といえば、ラーメンとタンメンの2つが100円だった。僕たちの活動を応援したいと今、タンメンのメニュー作りを監修してくれている人がいて、来年にはタンメンが提供できそう。『100円ラーメン』をやることで、いろいろな人との縁ができ、その縁が動き出している感じがする」と話す。

 10代でメダカの魅力にはまり、2004(平成16)年にメダカの情報サイト「めだかやドットコム」を立ち上げた青木さん。メダカを生かした事業を進める最中に大病を患い、リハビリの中、児童養護施設でメダカの飼育方法を教えたことをきっかけに福祉に興味を持った。障がい者福祉施設などでの経験を経て、2016(平成28)年には心身に障がいを持つ人を対象に就労継続支援サービスを提供する、あやめ会(子安町)を開業した。現在、八王子市内を中心にメダカを生かした店を展開し、就労支援を受ける人たちが働ける体制を整えている。

 今回の店も心身に障がいを持つ人をスタッフとして採用した。「働くのは引きこもりだったり、外に出られなくて仕事ができなかった人たち。障がいを持っている人が考えて仕事ができる場所が必要で、彼らが必要とされる場所を作るためには枠にとらわれずになんでもやってやろうと思っている。どこかの企業につなぐのではなく雇用を創出することが大事。今回の『100円ラーメン』でも福祉サービスの利用者としてではなく、雇用をし給料を払っている。活躍を見るだけでうれしい」と青木さん。

 Tシャツなどオリジナルグッズの販売なども行い利益を生むことで、持続的に店を続けていくことを狙う。「100円のラーメンを100杯売り、1万円で人件費と家賃を払おうと考える経営者はいない。ちゃんと黒字化し店をつぶさないことが大事。この店は当時のノスタルジックな空気感を表現するのが仕事なので、グッズも含めた全てで『100ラン』になる」と青木さん。

 「当時の『100円ラーメン』は子どもたちがみんな行き、みんな好きだった。あの頃は低所得の人でもなんでも嫌みなく行ける場所があった。核家族化が進み、人とのコミュニケーションも距離を取るようになる中で、そういったものはなくなっていった。今の『子ども食堂』はスティグマで、どんな使われ方をされても負の烙印(らくいん)が付かないものがほしい。民間によって維持、継続していくものとして、『100ラン』の仕組みが残れば価値があるのでは。これが成功モデルになれば全国にも広がっていくはず。『100ラン』をみんなで大切にしてほしい」と呼びかける。

 営業時間は11時~19時。月曜定休。

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