ティアックが「生録音今昔ものがたり」-デジタルとアナログで録音、音を聞き比べ

録音する中、ギター演奏を行った同社タスカム開発部の加藤さん(右)と寺井さん(左)

録音する中、ギター演奏を行った同社タスカム開発部の加藤さん(右)と寺井さん(左)

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 音響機器メーカーのティアック(多摩市落合)は1月27日・28日、本社試聴室を会場に一般を対象としたオーディオイベント「生録音今昔ものがたり」を開いた。

イベントの様子

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 同社は1953(昭和28)年に誕生した老舗音響機器メーカー。「TEAC」ブランドに加え、高級オーディオブランド「ESOTERIC」や、業務向けブランド「TASCAM」などを展開するほか海外ブランドの製品も取り扱う。

 昨年12月にクリスマスに合わせて近隣の企業などで働く女性向けにラウンジスペースを設けるなど、一般をターゲットとしてオーディオに興味を持ってもらおうと活動を行っている同社。今月から3回にわたり、「音(OTO)カルチャーシリーズ」と題したイベントを展開。今回はその1回目として、その場で演奏した音をアナログとデジタルのそれぞれで録音し、聞き比べてもらう催しを企画した。

 当日は一般客や同社社員など10人ほどが試聴室に集まった。演奏と録音に先駆けて、同社コンシューマーオーディオ事業部の唐金さんがアナログ録音とデジタル録音の違いやそれぞれの特徴などを解説。1960~70年代の「エアチェックブーム」の裏話なども語った。その後、日ごろ製品開発に当たっている同社タスカム開発部の加藤さんと寺井さんの2人がアコースティックギターで演奏会を開催。映画「ティファニーで朝食を」の主題歌としても知られる「ムーン・リバー」などを演奏した。

 アナログ録音では同社が1972(昭和47)年に発売したオープンリールデッキ「A-7030GSL」を、デジタル録音では現行製品のポータブルリニアPCMレコーダー「DR-100」を使用。アンプやスピーカーは同社が取り扱うハイエンドオーディオが使われた。オープンリールにはプロ用マスターテープとしても使われる「ツートラ・サンパチ・トーインチ」の10インチリールを使用したが、マイクは「DR-100」の内蔵マイクから音を出力し、デッキに接続する形で録音を行った。「スタンドマイクやミキサーを通してやろうとも考えたが、それだと大掛かり。本体のマイクだけでも十分楽しめると思って、あえて内蔵マイクを使った」と唐金さん。デジタル録音も44.1KHz、16ビットと、あえてCD程度の音質にとどめたという。

 演奏後はそれぞれのレコーダーで録音した音を再生。どちらの音が良かったかを尋ねたところ、「デジタルの方が良く音は録音できている」などの感想が上がったものの全員が「アナログ派」という結果に。「アナログの情報量はすごい。しかし、デジタルも技術の進化に伴ってどんどん良くなってきている。プロのミュージシャンがオープンリールで録音してCDを出す気持ちはこういうものかも」と唐金さん。

 「弊社はアナログの時代から50年以上にわたってやってきているが、こういう音響機器メーカーも減ってきている」と同社広報部の中村さん。「これからもさまざまな取り組みをしていきたい」と意気込む。

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