京王電鉄は9月7日から、環境施策の一つとして全ての営業列車の制御方式を「VVVFインバーター制御」に切り替える。8月21日、発表した。
昨年12月に「京王井の頭線3000系」を引退させるなど環境負荷の低減や省エネルギー化などを進めている同社。駅などでも太陽光発電システムや省電力型案内看板の導入を行っているほか、水の量を約50%削減できる節水型車両洗浄装置や二酸化炭素の排出量を約65%削減できる環境配慮型変圧器の導入など客の目に触れない部分でも、さまざまな取り組みを進めている。
「VVVFインバーター制御」はモーターの回転などに合わせて電圧や周波数をコントロールするもので、電車の加速力や速度に応じて効率良くモーターを利用できる。「電車の走行用電力が消費電力の大半を占めているため、その削減に効果の高い、VVVFインバーター制御化に積極的に取り組んできた」と同社。
現在、京王線を走る「8000系」「9000系」車両では導入時から、この制御方式を採用しているほか、同方式を採用する前の1984(昭和59)年から製造が始まった「7000系」についても、2003年度を皮切りに当時省エネを目的として多く採用されていた「界磁チョッパー制御」からの改造工事を進めてきた。今回、9月6日に残る最後の1編成4両を改造のため工場に送ることを決定。京王線・京王井の頭線を含めて、同社の列車843両全てが同方式に切り替わることになった。全ての列車を同方式にするのは民間鉄道で初だという。
既に全ての列車で採用している、ブレーキをかけた時にモーターを発電機として利用して、ほかの電車で使えるようにする「回生ブレーキ」と合わせ、「電車1両が1キロ走行するのに必要な消費電力量が、これらの装置の導入前と比較して約45%削減される」と同社。客室照明の蛍光灯からLEDへの切り替えも今年2月から始めており、今後も消費電力の削減を目指す。