高尾山で恒例「火渡り祭」-東日本大地震受け被災地復興も祈願

信者や一般参加者が所願成就を願って行う「御信徒火渡り」の様子

信者や一般参加者が所願成就を願って行う「御信徒火渡り」の様子

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 高尾山薬王院の自動車交通安全祈祷殿(八王子市高尾町)で3月13日、春の恒例行事「高尾山火生三昧火渡り祭」が行われた。

火を見守る信者や一般参加者

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 同院は744年に開山されたと伝えられる真言宗智山派の大本山。成田山新勝寺(千葉県成田市)、川崎大師(神奈川県川崎市)と並んで関東三大本山の一つとして知られる。本堂は高尾山頂に位置するほか、山中に同院の諸堂が数多く点在。高尾山のふもとの同殿では日頃交通安全祈とうを行っている。

 火渡り祭りは毎年3月の第2日曜日に実施。高尾山の「水の行」「火の行」の2つの荒行のうち、「火の行」を一般公開する。火をたいて祈りをささげる護摩修業としては同院の中でも最大の行事。今年も同所の「火道場」と呼ばれる広場を取り囲むように信者や一般の参加者が集まった。

 当日は13時から開始。同院山主32世隆玄貫首ら僧侶一行が同殿で祈とうを行った後、この祭りの時にのみ配布される「梵天札」を刺したみこしなどとともに広場へと移動した。広場では式を前に同院僧侶があいさつ。先日の地震に触れ、「日本の国土の安寧と1日も早い被災地の復興、悲しみに毎日を送られている皆さんの少しでも心の支えとなれるよう、皆さんの祈りを全国の地で修業をしてきた修験僧、山伏たちとともに祈りの山・高尾山から全国に発信していただきたい」と述べた。

 護摩の木を切り出す「神斧(しんぷ)」、魔を断ち切る「寶剣(ほうけん)」、魔を入り込ませない「寶弓(ほうきゅう)」、願いを読み上げる「願文(がんもん)」などを行った後、積み上げたヒノキの葉に火をつけた。火がつけられた後の読経の中では「一心祈願」の言葉に続き、事業繁栄、学業成就、交通安全などともに、被災地復興、救助安全、早期救助の祈りも行われた。

 信者らが氏名、年齢と願い事を書き込んだ「撫(な)で木札」と呼ばれる護摩木を火に投げ入れ、火がある程度落ち着いたところから、白装束に身をかためた高尾山の修験者である山伏たちが、この残り火の上を素足で歩き、身上安全などを祈念。その後、一般の参加者も火の上を歩いた。昨年は5,000人前後が参加した同祭だが直前に発生した東日本大地震の影響もあり、「いつもの年に比べると少ないように思う」と同院の報道担当者は話す。

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