東京工科大学(八王子市片倉町)メディア学部は6月20日、ブラウザーを使って英語を学習できるゲーム「RIDDLES IN PIECES」をホームページ上に公開した。
同ゲームは、今年2月に同大で行われたイベント「第1回シリアスゲームジャム Game Jam for “Happy English”」の成果として公開されたもの。洋館を探索しながら、バラバラになった英単語のなぞなぞを並べ替え、文章を作り上げながら部屋の脱出を目指す内容。パソコンのほかiPadなどのタブレット端末でもプレーできる。
教育をはじめとした社会に役に立つ「シリアスゲーム」を作ろうと行われた同イベント。「英語学習」をテーマに据えた今回は26人が参加し、5タイトルのゲームを制作。「RIDDLES IN PIECES」はその中の1本で、学生に加えてゲームコンサルタントや英語教師、プログラマーなど社会人も参加し8人で開発した。
学生時代に取り組んだ英語の並べ替え問題がパズルに似ていると気付いたことから、「ゲームになるのではないかという直感を信じた」と開発担当者。イベント終了後もチームを維持し、日常の仕事の傍ら、出来上がったゲームを磨き上げ、3カ月かけて公開にこぎ着けたという。
ターゲットは「気軽に英語を学びたいと思っている方や、学校の英語学習ではやる気が起きないという方」と担当者。「ゲームは従来の教科書ベースの学習に比べて、仮説を立てて幾度も試す問題解決学習にとても有効。今後、シリアスゲームが新しくて楽しい学習スタイルとして定着するといい」とし、「このゲームを遊んでいただいた方の半数以上が英語に全く自信がない方だったので、このゲームがきっかけで英語に興味を持ってもらえたらうれしい」と話す。
シリアスゲームについて、「欧米では盛んだが、日本ではまだ大学の先生が研究し、学会発表を行っているレベル」と、ゲームメーカーのナムコ(現在のバンダイナムコゲームス)などで開発プロデューサーを歴任し、野球ゲーム「プロ野球ファミリースタジアム」を世に送り出したことでも知られる同大の岸本好弘准教授。今回のイベントも、さまざまな分野のクリエーターらが集いゲームを作り上げる「ゲームジャム」と組み合わせることで、業界関係者にシリアスゲームを認知させる狙いがあったという。
「ゲームがポジティブなものとして評価されるようになったのはここ数年。あと10年もすると、物心ついた時からファミコンがある世代が主流になるので、ゲームを通して勉強することにも抵抗はなくなってくるのではないか」と岸本准教授。学生からも「メールの書き方のマナーが勉強できるゲームがあるといい」などの声が上がっており、「どうせやるなら勉強できるゲームやキャリアアップにつながるゲームができるといい」とシリアスゲームの未来に期待を込める。