工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」が7月14日、秋田県大潟村で行われるソーラーカーレース「ワールド・グリーン・チャレンジ(WGC)2018」に向け、キャンパス内で訓練を行った。
8月7日から大潟村ソーラースポーツライン(秋田県大潟村)で行われる同大会。8日からの本選では、1周25キロのコースを3日間、25時間走って総走行距離を競う。同チームは2016年に行われたレースで「クルーザークラス」に参戦。大会新記録となる51周を走って、グランドチャンピオンに輝いた。
今回は昨秋、オーストラリア大陸約3000キロをソーラーカーで縦断する「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(WSC)」に合わせて作られたソーラーカー「Wing」で挑む。訓練には大会に参戦する40人のメンバーのうち30人ほどが集まり、キャンパス内のホールを舞台にメンバー全員でピットインの練習や、トラブルに備えてドライバーの緊急脱出、タイヤ交換などの練習を行った。大会時は5泊6日の日程でキャンプをして暮らすことになるため、実際にテントを張りキャンプの準備も行った。
昨年のWSCでは、大会前にボディーに大きな穴が開き、ソーラーパネルも破損するなどアクシデントに見舞われたほか、大会期間中も悪天候に襲われ苦しい走りを見せる場面もあった。今年はチームメンバーも300人以上に増え、新たな体制で今大会に挑む。
監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授は「レースの1カ月前には車を完成させようということで進めてきた。今はトレーニングに移っている。順調に行けば、きちんと結果を出してくれるのでは。ミスをなくし時間が詰められるところは詰めたい」と話す。
これまでWGCには3回出場し、全てで優勝を果たしてきた。「4回目の優勝をしたいし、前回は大会新記録を出したので、それを抜きたい」と濱根教授。空力やエネルギーマネジメント、天気の予測など、さまざまな面の改善を図っており、「来年はオーストラリアで大会がある。その練習としてもってこいのレース。1・2年生をかなり取り入れていて、来年行くメンバーを強化している。秋田の大会を通して学生は成長する」。チームメンバーには「始まる前に結果が決まっているのが車のレース。レースが始まってからは何も変えられない。やるべきことを完璧にこなしてほしい。結果は後からついてくる」と発破をかける。
今シーズンからキャプテンを務めている先進工学部機械理工学科3年の尾崎大典(だいすけ)さんは「1年生の時に右も左も分からない状態で秋田の大会に行き、昨年、世界大会を経験して先輩の姿を見てきた。レースを勝つために自分たちができるかどうか」とした上で、「今年の1番の課題は下級生の強化。実戦経験を積ませ、実際のレースではみんなが動ける状態にしたい。欲を言えば優勝だけでなく先輩を超えたい。そして得た経験を次の世界大会に生かしたい」と話す。
チーム初の女性ドライバーとして昨年のWSCにも参加し、今大会がラストランとなる工学部機械工学科4年生の石川はるかさんは「準備は着々と進めている。オーストラリアの大会ではトラブルもあったが、今年はラストランということもあるので優勝で飾りたい。チームが新しくなってからまだ数カ月。成長してきていることは目に見えて分かる。次のオーストラリアの大会に向けての過程として今回、優勝できたら」と気合を入れる。
車の仕上がりについては、「秋田のレースに向けて、ほぼ完璧な状態で整備されている。後はドライバーが乗りこなすだけ」と石川さん。「私以外3人のドライバーは新人。レクチャーをしながらコミュニケーションを密に取っているので、オーストラリアの時と比べて絆は強い。先輩たちがつくってきたものを代々受け継いでほしいが、昨年のような悔しい思いはしてほしくない。先輩を超えてほしいので、限りある時間の中で教えていきたい」と意気込む。