工学院大学「ソーラーチーム」が6月27日、今秋行われる「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」参戦に向け、新型ソーラーカー「Eagle(イーグル)」を発表した。
【動画ニュース】工学院大学ソーラーチーム、新型ソーラーカーお披露目 秋に世界大会へ
同大八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く同チーム。BWSCはオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレースで、2年ごとに行われており、「チャレンジャークラス」「クルーザークラス」「アドベンチャークラス」の3つのクラスが設けられている。
同チームは2013(平成25)年の初参戦後、2015(平成27)年と2017(平成29)年の大会に出場。今回で4回目となる。前回大会では、大会前の試走中に強風などの影響で車体が転倒。ボディーやソーラーパネルが破損するなどのアクシデントに見舞われたほか、レース中には悪天候の影響を受け、大会初日に6位まで順位を上げた後は一進一退を繰り返しながらレースを展開。最終的にはクラス7位の結果を残した。
BWSC参戦車両としては、「Practice(プラクティス) 驍勇」「OWL(アウル)」「Wing(ウイング)」に続き4代目となる今回の「イーグル」。単胴型で全長は約5メートル、全幅約1メートル、約150キロというコンパクトなボディーに最新の技術やアイデアを詰め込んだ。
「イーグル」では太陽電池パネルを家庭用などでも使われるシリコン系から、化合物系太陽電池であるガリウムヒ素の物に変更。これによりエネルギーの変換効率を「Wing」の約24.8%以上から35%以上と大幅に引き上げた。
空気抵抗を減らすため、キャノピーを車名の由来にもなっているワシのくちばしに形状を模したものにし、車を流線型に仕上げることで風が車体後方に流れるよう工夫。さらに発電に悪影響を与える影がキャノピーによって作られないよう運転席を前に配置したほか、太陽電池パネルのパネル面をフラットにすることで徹底的に発電に配慮するなど車両デザインにもこだわった。
「日本初」をうたう技術として同大佐藤光史学長らが手掛ける紫外線で劣化せず、汚れ防止にもなるコーティングも採用。オーストラリアの公道に合わせた足回りを作り上げるなど、これまでの出場経験も生かした車両を作り上げた。
キャプテンを務める先進工学部機械理工学科4年の尾崎大典さんは「イーグル」について、「チームの歴史上、最もコンサバ。勝ちに行くことに強みを置いた車両」と説明。「世界中の学生がライバル。優勝旗を持って、この場にもう一度訪れることによって皆さんに恩返しをしたい」と意気込む。
10周年を迎える同チーム。「10年前、世界で注目されているソーラーカーをやらないかと授業で声を掛けたところ、8人が手を上げた。今は388人の学生が世界のトップを取りたいと集まっている。100年後の世界を作っていきたいという学生の気持ちが強い」と監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授。大会に向け、今後はテスト走行などを進めていく。「レースに向かうに当たって喜びばかりではない。笑いのほうが少ないくらい。レースは1分前でやることがたくさんある。高いレベルで戦うにはまだやるべきことがある」と意欲を見せる。
BWSCは10月13日~20日の日程で行われる予定。