西東京バス・浅川橋バス停から徒歩5分の場所にある「つくるのいえ」(八王子市中野上町1)のウェブサイトで8月4日、「のこぎり屋根の工場建築探訪」と題したコンテンツが公開された。
古民家を改修し、ものづくりの拠点として活動する同所。今回は八王子の有志が協力し、工場を象徴する「のこぎり屋根」を題材にしたコンテンツを制作した。
サイトには、屋根の成り立ちやこれまでの歴史、屋根のメリットなどを学ぶことができる「マンガで分かる『のこぎり屋根』」や、のこぎり屋根を持つ工場を紹介するマップ、写真を見ることができるギャラリーなどをまとめた。
制作に携わった大原さんは「のこぎり屋根は八王子の織物の歴史を残す貴重な建築物。そうした建物は、経済的な結びつきが少ない現代では、数が少なくなった今もなお日々壊され続けている。もしかしたら壊すよりも残すことのほうが個人にとっても、街にとっても価値が生まれるかもしれない。その可能性があるとしたら、放置してはいけないと思った」と話す。
当初は実際に街を歩きながら、地域の歴史を学ぶイベントとして企画。ウェブサイトはその派生コンテンツと位置付けていたが、「イベントの開催を当面延期にしたことから、サイトをご覧いただいた方が、おのおの町探検を実践、歴史を学べるような内容に深めていった」と説明する。
サイト内ではイラストを多用。「のこぎり屋根について詳しくない、全く知らないといった方にも親しみをもってもらいたかったから」と大原さん。「親しみやすさ優先で内容が薄くならないよう、調べられる範囲で詳細なデータや文献に触れたり、現役の工場内部の写真をお借りしたりして掲載した」とコンテンツの充実にも気を配ったという。
中でもマップでは、八王子のほか群馬県桐生市の工場も紹介。「桐生市は、数ある繊維産地の中でも、のこぎり屋根を観光資源として活用し保存に成功している代表的な自治体。のこぎり屋根が『価値ある建造物』して市民権を得ている桐生市と対比させることで、現在の八王子ののこぎり屋根が置かれている状況を見直すきっかけになればいい」とも。
今後もコンテンツの更新は続けていく予定で、「写真ギャラリーは適宜追加して掲載していきたいし、3話までとなっているのこぎり屋根についての情報も増やす」と大原さん。「のこぎり屋根は、ぎざぎざしたかわいらしいデザインと、桑都八王子の歴史の重厚さを併せ持つ唯一無二の建造物。昔よく見掛けて懐かしいと思われる方も、今まで知らずに初めて見たという方も、散歩ついでに見つけて楽しんでいただけたら」とした上で、「自分と同じ20代、30代や、学生さんなどにも興味を持ってもらえたらうれしい」と期待を込める。