3人の女性作家による作品展「3人展 時のかたち」が11月5日、「ギャラリー芙蓉(ふよう)」(八王子市横山町)で始まった。
刃物で文様を彫り、そのへこみに漆を刷り込んだところに金粉や銀粉、色の粉を沈めて模様を描く沈金を手掛ける春日友子さん、自ら糸をつむぎ、染色をして茶道具を包む仕覆(しふく)を作り上げている山口由佳さん、オーダーを基に市内の店のミニチュア化なども手掛けているミニチュアドールハウス作家の谷本朋子さんの3人による同展。
会場では作家ごとにコーナーを設けて作品を展示。春日さんはフィンランドでも展示された作品などを紹介するほか、山口さんのコーナーでは、作品と合わせて綿など素材となる植物の写真も飾るなど、それぞれ工夫する。一部の作品は販売も行っており、谷本さんのコーナーでは、ミニチュアドールハウス向けの小物も販売している。
春日さんは「漆器には格式が高いイメージがあるかもしれないが、実際に使っていただくと、くちびるへのあたりが柔らかかったり、手触りが温かかったり、使えば使うほど強度も増していくもの。どんどん使っていただきたい」と話す。「八王子ではミニチュアドールハウスを見ていただく機会がほとんどない」という谷本さんは、「まずは実物を見て、ミニチュアの魅力に触れていただければ」と期待を込める。
山口さんは「まずは仕覆というものがどういうものかを知っていただきたい」とした上で、「山の中からこれだけの色をいただくことができるんだということも皆さんに見ていただきたかった。自然の懐(ふところ)の深さを感じていただければ」とアピールする。
合同で作品展を行うのは今回が初めて。企画した谷本さんは「ギャラリーの方と話をしていたら、見に来られる方の高齢化が進んでいて、八王子にはギャラリーがたくさんあるのにだんだんと身近なものではなくなりつつあるので、若い方が来ていただけるようなきっかけを考えてくれないかとお話をいただいた。そこで、春日さんと山口さんに、ご一緒してほしいと声を掛けた」と振り返る。
今回の展示について、「それぞれキャラクターが違うので、個性が光っていい」と春日さん。谷本さんは「キャラクターは違うが、長く受け継がれてきたもの、将来に残していきたいもの、時間というものが共通のテーマとしてある。キャラクターが違うものが集まるのは意義がある」と話す。「八王子には、これだけユニークなことを一生懸命やっている人間がいるんだ、八王子って面白い街だと発見してもらえたらうれしい」と期待を込める。
開催時間は11時~18時(最終日は16時まで)。今月10日まで。