JVC・ケンウッド・ホールディングス(横浜市神奈川区)のグループ会社であるケンウッド(八王子市石川町)は12月上旬、GPSユニットを内蔵したアマチュア無線機「TH-D72」を発売する。
1958(昭和33)年にアマチュア無線用受信機「9R-42J」を開発して以降、アイコム(大阪市平野区)、バーテックススタンダード(目黒区)などと並んでアマチュア無線機器におけるリーディングカンパニーの1社として知られる同社。今回、1998年に発売したハンディ機「TH-D7」の後継機として開発した。
同社はアマチュア無線のパケット通信とGPSを組み合わせて、各局の動きをリアルタイムに取得するシステム「NAVITRA(ナビトラ)」を開発。同様のシステムとして海外を中心に広まっている「APRS(Automatic Packet Reporting System)」も取り込んで製品の開発を行っている。
「APRSは特に米国を中心として近年、非常に盛り上がりを見せている」と同社経営戦略部の今井さん。「登山やトレッキング、ツーリングやサイクリング、パラグライダーなどのスカイスポーツに至るまで、ほかのアクティビティーと融合して活用いただける」。
前モデルとなる「TH-D7」では市販のGPSレシーバーと接続することで機能を実現していたが、今回はGPSユニットを本体に内蔵。緯度・経度の情報やテキストメッセージなどのデータ通信を本体だけでできるようにした。「業務用製品ではGPSを内蔵した車載器などがあったが、アマチュア機としては当社初」と今井さん。「より手軽にお使いいただけるオールインワンでの製品提供を考えて内蔵型とした」という。
位置情報は最大5,000ポイントまで記録。目標地点の距離と方角をリアルタイムで表示する「ターゲットポイント機能」や無線をオフにして位置情報だけ記録する機能も搭載する。記録したログはソフトウエアを使うことで、グーグルの地図サービス「Google Earth」に対応したファイルに変換可能。
パソコンと接続するUSB端子に加え、外部機器と接続するTNC型コネクタを搭載。インターネットを介した音声通信「VoIP」を使って無線を中継した運用もできる。144MHz、430MHzそれぞれのFM帯に対応。大きさは幅5.8センチ、高さ14センチ、奥行き3.3センチで、重さは約370グラム。送信出力は最大5ワット。
希望小売価格は、6万2,790円。