プレスリリース

チェック・ポイント・リサーチ、アンチディテクトブラウザに関する調査結果を公開 サイバー犯罪への利用や組織的な影響工作に注意

リリース発行企業:チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社

情報提供:

サイバーセキュリティソリューションのパイオニアであり、世界的リーダーであるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(Check Point(R) Software Technologies Ltd.、NASDAQ: CHKP、以下チェック・ポイント)の脅威インテリジェンス部門であるチェック・ポイント・リサーチ(Check Point Research、以下CPR)は、アンチディテクトブラウザに関する最新の調査結果を発表しました。

アンチディテクトブラウザ(Anti-detect Browsers)は、1人のオペレーターが数千ものブラウザプロファイルを管理し、各プロファイルをそれぞれ異なるユーザー、デバイス、所在地からの利用であるかのように偽装できるツールです。正当な用途がある一方で、CPRの調査により、アカウントの乗っ取りや決済詐欺、偽アカウントの作成といったサイバー犯罪に悪用されている実態が明らかになりました。さらに、市販のツールとAIを組み合わせることで、大規模な偽のオンラインIDネットワークの運用が容易になる可能性があります。こうしたネットワークが組織的な活動に利用された場合、特に選挙期間中は、インターネット上の言論に影響を及ぼす恐れがあります。

主な調査結果

- アンチディテクトブラウザは、多数のブラウザプロファイルをそれぞれ異なるユーザー、デバイス、所在地からの利用であるかのように偽装できます。CPRは、こうしたツールがサイバー犯罪の現場で実際に利用されている事例を確認しました。

- 攻撃者は、窃取したセッションCookieと偽装したブラウザプロファイルを組み合わせることで、通常のログインや認証チェックで検知されることなくアカウントを乗っ取れる可能性があります。また、互いに無関係に見える複数のアカウントを運用することで、従来のデバイス情報や行動パターンに基づく不正検知をすり抜けやすくなります。

- 市販のアンチディテクトブラウザには、フィンガープリントの偽装やプロキシとの連携、操作の自動化、複数アカウントの管理といった機能が備わっています。さらに、AIによるコンテンツ生成と自動化を組み合わせることで、より少ない手作業で多数のアカウントを動かせるようになり、活動規模の拡大につながる恐れがあります。

- 偽アカウントの管理に使われる技術は、組織的な影響工作にも転用される可能性があります。その結果、プラットフォームの運営者やユーザーにとって、一般の人々による自発的な発信と、組織的に仕組まれた活動との見分けが難しくなる恐れがあります。特に選挙期間は、こうした懸念が一層高まります。


アンチディテクトブラウザとは何か

ウェブサイトは、ブラウザから取得できる様々な情報をもとに、ユーザーを識別することができます。これには、デバイスの画面解像度、タイムゾーン、ブラウザの種類、フォント、WebGL情報、ハードウェアの特性などが含まれます。これらの情報を組み合わせることで、ブラウザのフィンガープリントが形成されます。

アンチディテクトブラウザは、こうした情報を操作することで、各ブラウザプロファイルをそれぞれ異なるユーザーやデバイスからの利用であるかのように偽装できるツールです。Facebook、Instagram、TikTok、YouTube、Xなどのソーシャルメディアで複数のアカウントを管理するために広く利用されているほか、ECサイト、金融サービス、ビジネス向けネットワークなどのアカウントにも対応しています。

その結果、プラットフォーム側がユーザーの実態を把握することが難しくなります。1人のオペレーターが多数のプロファイルを管理していても、各プロファイルはそれぞれ個別のデバイス特性やネットワーク上の識別情報を持つ独立したユーザーとして認識される可能性があるためです。CPRは、アンチディテクトブラウザがプロファイル同士のつながりを覆い隠す仕組みを、デバイス、ネットワーク、セッション、行動、コンテンツの5つの層に分類しています。

アンチディテクトブラウザのサイバー犯罪への利用

CPRは、アンダーグラウンドのフォーラムや犯罪者向けマーケットプレイスにおいて、アンチディテクトブラウザが、アカウント乗っ取りや決済カード詐欺、不正なローン申請、偽アカウントの大量作成などに利用されている形跡を確認しました。例えば、窃取したセッション情報をこれらのブラウザに直接取り込める攻撃ツールの広告が掲載されていました。また、セッションCookieや認証トークンなどを窃取するマルウェアの開発チームが参加者を募る投稿では、このマルウェアが複数のアンチディテクトブラウザ上で動作することが明記されていました。

こうした状況は、攻撃者が単一の検知回避手法だけに頼るのではなく、アンチディテクトブラウザと窃取した認証情報や住宅用プロキシ、デバイスIDの操作など、複数の手法を組み合わせて、より大規模なインフラを構築する可能性を示しています。

商用ツールの普及とAIによる大規模運用化
アンチディテクトブラウザを取り巻く環境は、サブスクリプション、カスタマーサポート、自動化機能などを備えた、一般的な商用ソフトウェアと同様のエコシステムとなっています。CPRの調査では、AdsPower、MultiLogin、Kameleoなどのツールが、複数のブラウザプロファイルの管理や操作の自動化、ブラウザのフィンガープリントの変更といった機能を備えていることが確認されました。これらの機能を使えば、多数のアカウントをそれぞれ別々のユーザーが運用しているかのように容易に偽装できます。

さらに、AIの活用によって、運用規模が一層拡大する恐れがあります。例えば、AdsPowerは大規模言語モデル(LLM)と連携するための専用MCPサーバーの提供をうたっています。また、「いいね」やコメント、ダイレクトメッセージの送信などを複数のアカウントで一括実行できる自動化テンプレートも提供しています。AIによるコンテンツ生成と自動化機能を用いた配信を組み合わせることで、従来よりも少ない手作業で多数のアカウントを運用できる可能性があります。こうした仕組みは、金銭目的の詐欺にとどまらず、世論やSNS上の反応を操作するといった組織的な不正活動にも悪用されかねません。

アカウントの挙動だけでは不十分
セキュリティチームにとって、個々のアカウントの挙動を監視するだけでは、もはや不十分です。アンチディテクトブラウザは、セッション、デバイス、ユーザーが正規のものかどうかを組織が判断する際に用いる様々なシグナルを操作するよう設計されているためです。個別のアカウントだけでなく、それらを結びつけるインフラやシグナルにも目を向ける必要があります。

チェック・ポイントのデータリサーチマネージャーであるオマー・デンビンスキー(Omer Dembinsky)は、次のように述べています。
「問題はもはや、偽アカウントの作成だけではありません。一見すると互いに独立した何千ものデジタルIDを、大規模に運用できてしまうことが問題なのです。アンチディテクトブラウザを使えば、アカウント同士のつながりを隠すことができます。さらにAIや自動化技術を活用すれば、それらのアカウントでコンテンツを生成し、連携して活動させることも容易です。
選挙期間中は、問題がさらに広がります。金融詐欺やアカウント乗っ取りに使われるものと同じインフラが、インターネット上の議論を操作したり、世論が自然に盛り上がっているように見せかけたりするために悪用される恐れがあるのです。インターネット上で数千人がそれぞれ声を上げているように見えても、実際には1人の攻撃者が操る組織的な活動である可能性もあります」

組織への推奨事項
アンチディテクトブラウザによって個々のアカウントの信頼性を判断することが難しくなる中、組織にはインフラやセッションレベルまで検知の範囲を広げることが求められます。「一見すると独立している何千ものアカウントは、本当に互いに独立しているのか?」という問いが、ますます重要になっています。CPRは組織に対し、次の対策を推奨しています。

- インフラレベルのシグナルを監視する:アンチディテクトブラウザの使用を示す痕跡、住宅用プロキシの大規模な利用、WebRTCの抑制パターンなどを検知しましょう。

- セッションの監視を強化する:事前に認証されたセッションにおける異常や、不自然なCookie注入の手法を特定しましょう。

- 不正検知の仕組みを見直す:デバイスの一貫性やセッションの継続性は操作される可能性があるため、これらに大きく依存した仕組みになっていないかを確認しましょう。

- アカウント間のつながりを分析する:個々のアカウントのアクティビティだけを見るのではなく、複数のアカウントにわたる不審な挙動を調べましょう。


今回の調査結果の技術的な詳細については、こちらからCheck Point Researchのレポートをご覧ください。

本プレスリリースは、米国時間2026年10月20日に発表されたブログ(英語)をもとに作成しています。

Check Point Researchについて
Check Point Researchは、チェック・ポイントのお客様、脅威情報コミュニティを対象に最新のサイバー脅威インテリジェンスの情報を提供しています。チェック・ポイントの脅威インテリジェンスであるThreatCloud AIに保存されている世界中のサイバー攻撃に関するデータの収集・分析を行い、ハッカーを抑止しながら、自社製品に搭載される保護機能の有効性について開発に携わっています。100人以上のアナリストや研究者がチームに所属し、セキュリティベンダー、捜査当局、各CERT組織と協力しながら、サイバーセキュリティ対策に取り組んでいます。
ブログ: https://research.checkpoint.com/
X: https://x.com/_cpresearch_

チェック・ポイントについて
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(www.checkpoint.com)は、世界各国の10万を超える組織を保護するグローバルなサイバーセキュリティのリーダー企業です。チェック・ポイントは、企業の安全なAIトランスフォーメーションの保護をミッションとして掲げています。防止優先のアプローチとオープンエコシステムアーキテクチャを基盤に、組織がリスクを低減し、業務を簡素化して、自信を持ってイノベーションを推進できるよう支援します。チェック・ポイントの統合セキュリティアーキテクチャは、進化する脅威や拡大するAI攻撃対象領域に継続的に適応し、ハイブリッドネットワーク、クラウド環境、デジタルワークスペース、AIシステムを保護します。4つの戦略的柱であるハイブリッドメッシュネットワークセキュリティ、ワークスペースセキュリティ、エクスポージャー管理、AIセキュリティを軸に、チェック・ポイントは複雑なマルチベンダー環境全体にわたり、一貫した保護と可視性を提供します。チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの全額出資日本法人、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(https://www.checkpoint.com/jp/)は、1997年10月1日設立、東京都港区に拠点を置いています。

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