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「八王子城精密ルートマップ」発刊 現地を歩いて地図補正、新発見の遺構も

「八王子城精密ルートマップ」をまとめた堀籠さん

「八王子城精密ルートマップ」をまとめた堀籠さん

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 多摩地域の書店などで4月1日、八王子城跡の遺構などの情報などをまとめた「巨大山城 八王子城精密ルートマップ 2016年版」の販売が始まった。

ルートマップの裏面には各スポットの細かな解説がまとめられている

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 国指定史跡として知られる八王子城跡。今回は本業の傍ら「八王子城測量家」として同城跡を巡っている堀籠(ほりごめ)隆さんが自ら歩いて作り上げた地図と、砦や陣地など遺構や見どころスポットなどの情報で構成されており、A1サイズのルートマップ4枚、B3サイズの付録1枚という「大作」となっている。

 八王子城を「歴史と自然を同時に満喫できる、日本で最も巨大でちょっと危険なテーマパーク」(原文ママ)と紹介したうえで、北部・南西部・南東部・中部の4つのエリアに分けて解説。地図の製作に当たっては、現地での歩数を基にした簡易測量とGPSによるポイントデータから補正をかけており、「国内山地図最高精度の等高線」とうたう。

 八王子城のルート整備などをボランティアで行う「八王子城1000人プロジェクト」の発起人でもある堀籠さん。「ネットの地図を見たら八王子に城のマークがあるのに情報が無かったので気になった」。2007年秋に散策を初めて以来、10年にわたって情報を収集。今回のルートマップは、その成果になる。「八王子城は城域が広いが、ちゃんとした案内もなく、まだ誰もやっていないならやろうと思った」としたうえで、「もしかしたら北条氏照公にお呼ばれしたのかも」と話す。

 調査は距離を歩数で測るなど地道に進めており、「最初は100円ショップで売っているカウンターを使っていたが、すぐに壊れてしまった。4、5歩行っては方位などのデータを取ることの繰り返しで、コースもまっすぐではないので1日1キロがやっと」。大小4つの滝が連なり、高低差が50メートルにもなる「青龍寺の滝」を巡った際には命綱が必要となるなど危険な思いをしたと振り返る。「特に3段目の滝は落差が13メートルもあるのでスリリングだった」。地図の製作には、1カ所のデータを修正すると周辺も修正せざるを得なくなることから、編集だけで3カ月ほどかかったという。

 ルート全体のうち踏査できたのは70%ほど。このうち簡易測量まで終わっているのは40%ほどのため、今回のマップについては「2016年版」の名前をつけた上で「まだ通過点」とする。「八王子市が高精度地形データを持っているので、それが使えるといい」。

 今後の課題の一つが八王子城跡の保護。「400年もたつといろいろと崩れてしまっており、石垣なんてほとんど壊れてしまっている。国有林の伐採作業に伴って古道の破壊も進んでいる。これからは遺構をどう守っていくかがポイント」としたうえで、「そのためにも、もっと情報を増やしたい。ここでやめるわけにはいかない」と意気込む。

 八王子城は、北条氏の3代目・北条氏康の三男である北条氏照が築いた山城。1584年~1587年ごろに築かれたと伝えられており、1590年の豊臣秀吉による小田原攻めの一環で落城したとされる。

 価格は2,000円(税別)。

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