工学院大学「ソーラーチーム」が10月18日、オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」の大会6日目でゴール地点となるアデレードに到着、クラス5位でのフィニッシュを決めた。
BWSCはオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレースで、2年ごとに行われている。今回は今月13日から本戦が行われており、4回目の参戦となる同チームは「チャレンジャークラス」で戦いに挑んだ。
予選を3位で通過し、本戦3番手と好位置からの出発となった同チーム。大会初日、最初のコントロールストップであるキャサリンを通過後、モーターの過熱による故障というアクシデントに見舞われ、1時間20分にわたって停車を余儀なくされる事態となり、初日はクラス9位で終了。2日目は猛暑からドライバーの体調を考慮して、予定外の休憩をはさみながらも8位に順位を上げた。
3日目となる15日はコントロールストップであるカルゲラを前に、先を行く「Top Dutch Solar Racing(トップ・ダッチ・ソーラー・レーシング)」を追い越すなど好調だったが、その後、強風の影響を受け車体を損傷する。修理をしている間に再びトップ・ダッチに追い抜かれる展開となった。
16日も強風が続き、トップを行く「Solar Team Twente(ソーラーチーム・トゥエンテ)」と4位の「Team Sonnenwagen Aachen e.V.(チーム・ゾネンバーグン・アーヘン)」がクラッシュ。「トゥエンテ」はリタイアに追い込まれるなど波乱が起きた。工学院大学も強風の影響を受け、再びコースアウトし修理する事態となり、この日は8番目のコントロールストップであるグレンダンボの48キロ手前で走行を終了。修理後の車両にはメンバーが寄せ書きのように思いを書き込んだ。
レースに復帰した17日は、ゴールまで残り約115キロの地点まで進み、順位は前を行っていたチーム「アーヘン」のトラブルもあり5位に浮上。大会6日目となる18日9時53分にアデレードに到着し、クラス5位の結果で終えた。
監督を務める同大機械システム工学科の濱根洋人教授は「モーターが燃える、車体が横風で飛ばされて2回クラッシュ、タイヤのカバーが飛んでいく、砂嵐に見舞われるなど今回は一番大変なレースだった」と話す。「『もうリタイア』という状況に2回陥った。毎日何かが起こって順調に行くことがなかった。よくどん底からはい上がったと思う」とも。
大会前から車両の完成度には自信を見せていた濱根さん。「何もなければ1位で到着する自信があるほどのマシンだった」と話し、「順位は結果論なのでどうでもいい。良いチームで良いレースになった。今回、粘り強さが身についたと思っている。今日は風呂に入ってビールを飲みたい」とほほ笑む。