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八王子在住ピアニストの留学体験を書籍化 露・モスクワ音楽院での6年半まとめる

エッセーをまとめた坂本里沙子さん

エッセーをまとめた坂本里沙子さん

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 八王子在住のピアニスト・坂本里沙子さんのエッセー本「私の音楽留学」(群像社)が8月29日に発売され、1カ月がたった。

ヤマハ銀座コンサートサロンで行われたサロンコンサートの様子

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 福島県いわき市生まれ、神奈川県大磯町育ちの坂本さん。高校卒業後、2012(平成24)年にロシアの国立モスクワ音楽院へ留学。昨年、同校を卒業し、ロシア国家演奏家資格を取得したという。9月15日にはヤマハ銀座コンサートサロン(中央区)でサロンコンサートを開催。10月17日には響堂ホール(世田谷区)でリサイタル、11月7日には「タカギクラヴィア 松濤サロン」(渋谷区)で行われる日ロ交流協会主催のイベントへの出演を予定するなど精力的に活動している。

 今回は約6年半にわたる留学の間、ブログへ書き続けていたものを下に卒業までの物語を一冊にまとめた。「8年前はSNSも一般的でなく、近況報告のためにブログを始めた。留学を始めたものの言葉がわからない時から大学生活を送る中、書き続けた」と坂本さん。

 高校生の時、公開レッスンの場でロシアへの留学を誘われたことから物語は始まる。もともとドイツ留学を考えていたという坂本さん。特に言葉の壁は厚かったという。「『ありがとう』と『すいません』しか言えない状態で生活しなくてはいけなかった。スーパーのレジで袋がいるかいらないかも言えなかった」。外国人向けの予備科で1年間、語学も含めて学んだ後、本科へと進んだが、「日本人は自分だけだった」と話す。

 留学生活を振り返り、「ロシアはピアニストも教養を持っていないといけないという教育方針。美術館の館員から絵画について教えてもらうなど総合的に力をつけていくところは勉強になった。ロシアっぽさが感覚として分かるようになったので、ロシアの曲を弾くときに、それが演奏に出るようになった。こうやって肉付けされていくんだと思った」と坂本さん。「ホームシックにかかる暇がないほどばたばただった。大変だとは思ったけど帰りたいと思ったことはなかった。もう1回できるかというと絶対できない。あの時だからこそできた」とも。

 書籍化を受け、「必死で振り返ることができていなかったので、こんなピュアな気持ちで頑張っていたんだなと思った。本にしていただいたことで、自分を振り返ることができた」と坂本さん。出版から1カ月がたち、「思ったよりもたくさんの方に読んでいただいている。知らない世界を知ることができて面白いと言ってくださる方が多い」と評判は上々だという。

 「海外に留学してみたい方、ロシアに興味がある方など音楽には興味がない方にもぜひ読んでほしい」と呼び掛ける。

 B40判、109ページ。価格は900円(税別)。

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