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多摩初のクラフトジン蒸留所「東京八王子蒸溜所」 オリジナル商品も

「東京八王子蒸溜所」の外観

「東京八王子蒸溜所」の外観

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 クラフトジンを製造する「東京八王子蒸溜所」(八王子市椚田町)が営業を始めて1カ月がたった。

見学会などの際に使うため、2階にはバースペースを用意

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 樹脂成形品の製造などを手掛ける大信(椚田町)が新たに立ち上げた同施設。昨年12月に蒸留を始め、1月22日にオリジナルのジン「トーキョーハチオウジン」の販売を始めた。1階でジンの製造を行い、2階はテイスティングができるバースペースを用意する。クラフトジンの蒸留所としては「多摩地区初」をうたう。

 同社の札幌営業所に赴任した際、クラフトジンに出合ったという同施設代表の中澤眞太郎さんが一念発起した。「もともとジンには良い印象を持ってはいなかったが、クラフトジンに触れたことで、こんなに面白く、思ってたものと違うんだと気付いた。それをきっかけにいろいろ調べ始め、自分でもできると思った」と中澤さん。2019年には海外に研修に出向き、ジンについて学んだという。

 施設は駐車場だったスペースを活用して新設した。中澤さんは「樹脂全体のボリュームは年々減少傾向にある。全く違う分野のことをやりたいという思いがあった。構想からは2年半くらいかかった。海外に研修に行った時にどのような蒸留器を使ったらいいかなどベースを教わり、自分たちがやりたい事業規模に合わせて工場を作った」と話す。

 1階の工場部分は道路に面する部分がガラス張りとなっており、外から蒸留器などを見ることができる。見学会やイベントの際に開放する2階のバースペースからも工場の様子が見えるようにした。これらは中澤さんが飲食店で働いた経験も生かし、アイデアを作り上げたという。

 「管理上、明確に区画しなければならないなど難しいところはあるが、いろいろ工夫した。見せる形にしないと情報に埋もれてしまう。ただ液体を造るビジネスではうまくいかないと思ったし、それだったらやりたいとは思わなかった。体験を大事にする飲食店で働いていた経験から、ユーザーの感性も大事にしようと思った」と中澤さん。

 「トーキョーハチオウジン」は、ロンドンドライジン本来の味わいを追求したという「CLASSIC(クラシック)」と、「クラシック」よりもアルコール度数を低めに設定し、エルダーフラワーを多めに使うことで花の香りを強調した「ELDER FLOWER(エルダーフラワー)」(以上4,000円)の2種類を展開する。

 商品名を「トーキョーハチオウジン」にしたのは、「ゆくゆくは世界に向けて発信したいので、日本らしさを出すために片仮名を使いたかった。『トーキョー』は外国の方は読めなくても東京のことを指していると分かるし、ロンドンドライジンに対しての東京という存在を打ち出したかった」と中澤さん。ただ、「八王子の人は納得すると思うが、八王子なので自信を持って東京だと打ち出せない」と笑う。

 「クラシック」と「エルダーフラワー」の2種類を用意したのは、「1種類で全てのターゲットに対するのは難しい。見せ方や味わい方を分けて、その幅を見せたいという思いがある。どういう人に飲んでもらいたいかから逆算した。ロンドンドライジンに忠実で、バーなどしっかりとした洋酒を扱っている店に対して響く製品に設計した『クラシック』と、洋酒に慣れていない人でも気軽に楽しめるものをコンセプトにした『エルダーフラワー』を用意した」と中澤さん。アルコールはヨーロッパから仕入れる。

 現在は本業と掛け持ちをしながら、ほぼ1人で工場を動かしており、出荷の際は同社の従業員の手を借りるなど工夫しているという。中澤さんは「八王子には何があるかと聞かれて、パッと答えられるものがあまりない。八王子にとって誇れるものが作れたらいい」と意気込む。

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