八王子のものづくりを特集した情報誌「つなぐ通信 Vol.18 Spring」の配布が5月15日、市内各所などで始まった。
オージーライブデザイン(岡山県岡山市中区)が発行し、多摩市内に編集部を設けて制作している同誌。2013年春から発刊されているカルチャーマガジンで、三多摩地区を中心に都内各地の商業施設や公共施設、「かんぽの宿青梅」(青梅市)をはじめとした各地の「かんぽの宿」などで配布されている。
今回は「八王子・ものづくりの未来をつなぐ」と題した特集を展開。奥田染工場(八王子市中野上町1)の社長で、有志とともに古民家を改修し、ものづくりの拠点となる「つくるのいえ」(中野上町1)も手掛ける奥田博伸さんを軸に据えた「そして八王子で『つくるのいえ』が始まった」や同所のプレオープンイベントでコラボした岡山県の繊維メーカーなどを巡る「デニムと帆布の岡山産地を訪ねて」などの記事を掲載する。
奥田さんとつながる八王子の人々として、文化学園(渋谷区)が市内の織物工場を改装して、2013年に開所した「文化・ファッションテキスタイル研究所」(八王子市北野町)の宮本英治所長や、靴店「うさぎや」(明神町2)を経営しながら、若手経営者向けに経営ノウハウなどを教える塾「お店よろし塾」を手掛ける小俣能範さん、北欧のビンテージ家具をメインに扱う専門店「MICHIO OKAMOTO WAREHOUSE」(中野上町5)店主の岡本道雄さんなど地元のさまざまな人の活動も取り上げている。
同誌の成田典子編集長は「世代や文化をつないでいくということと日本のものづくりを大切にしていきたいという思いがあり、これまで各地のものづくりを多く取り上げてきた」と話す。創刊号で奥田さんを取り上げていたことや昨年12月に行われた「つくるのいえ」のプレオープンイベントを訪れたことなどがきっかけとなり、「八王子が面白くなってきた」と特集を組むことにしたという。「奥田さんから横につながる人たちがみんな登場しているという、こういう編集の仕方は今までにない」とも。
「再生」と「循環」の2つをキーワードにしているが、「新しいものを作って捨ててしまうというものづくりに警鐘を鳴らしている人たちが多い。良いものを作って長く使っていくことの大切さをテーマとして打ち出した」と成田さん。また、「ただ面白い人がいるということではなく、人や街はさまざまな歴史の土台の上に成り立っている。その歴史を意識して編集した」とも。「ものづくりが好きな人やまちおこしに関心がある人にも読んでほしい」と呼び掛ける。
A4版、40ページ。市内では奥田染工場や「うさぎや」などで配布。同誌公式ホームページではウェブ版を閲覧できる。