オーストラリア大陸を縦断するソーラーカーレース「ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ(BWSC)」が10月22日に大会初日を迎え、工学院大学八王子キャンパス(八王子市中野町)に拠点を置く「ソーラーチーム」は日本勢トップでスタートした。
「BWSC」はオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000キロを走破する世界最大のソーラーカーレース。開催は4年ぶりで、今月22日~29日の日程で行われる。同チームは今回、「チャレンジャークラス」に出場。同クラスには日本から同チームのほか、「東海大学ソーラーカーチーム」「呉港高校エコテック部」「和歌山大学ソーラーカープロジェクト」が参戦している。
新型ソーラーカー「Koga(コーガ)」で戦いに挑む工学院大。今月21日に「ヒドゥンバレー・レースウェイ」でスタート順位を決めるタイムアタックが行われ、2分6秒82を記録し5位となった。しかし、車両に前輪と後輪の中心の長さである「ホイールベース」が変えられる機構が備わっていたことから、その最短時と最長時のタイムの平均を取って、スタート順位は11番手になった。
レースは現地時間の今月22日7時に始まった。当初、先に出発する予定だった東海大がトラブルにより遅れたため、工学院大が国内勢トップでダーウィンを出発した。
大会初日は、ダーウィンから632キロ地点で、3番目のコントロールストトップがある「ダンマラ」を通過。2日目となる今月23日は、4番目のコントロールストップがある「テナントクリーク」を通過した後、約1180キロ地点まで進んだ。3日目は行程の半分に当たる約1500キロ地点の「アリススプリングス」を通過。時速約68キロで南下を続け、約1660キロ地点で1日を終えた。現在、1位は時速約90キロで走り、約2200キロ地点の「クーバーペディ」の手前まで進んでいるベルギーの「Innoptus Solar Team」。国内勢としては、工学院大は約1890キロ地点まで進んでいる東海大に次ぐ2番手に位置する。
チームリーダーで工学部機械システム工学科3年の中川立土さんはダーウィンでの出発に際し、「ここに立てたことがうれしい。今までサポートしてくれたスポンサーやチームの関係者の皆さんに感謝の気持ちでいっぱい」と話した。初日を終えた後は、「前回大会よりは進めている。大会としてもレベルが高いと感じている。途中で電気系のトラブルから路肩で整備をすることになり、後続チームに先を越されたが、その後、その姿を捉えて並走しながらコントロールポイントまで来ることができた」と振り返った。
大会3日目は、アリススプリングスまでのドライバーを務めた中川さん。1日の走行を終えた後は車両を整備したり、太陽光パネルをきれいに掃除したりとメンテナンスを行っているという。「初日から太陽光パネルの発電量が良くなかったので、初日の夜も2日目の夜も整備を行った。レースで修正しながら走れるところまで走りたい。バッテリーの残量が少ないので、速度はゆっくりにはなると思う。この先には山火事もあるよう。安全に行きたい」と話す。
監督で同大機械システム工学科の濱根洋人教授も発電の調子の悪さを指摘する。「太陽光パネルの発電の調子があまり芳しくない。夜中までかけてあやしいと思われる箇所の部品を全部変え、発電するかと思ったら同じ状況だった」と話す。
大会3日目を受け、「バッテリーが空なので、天気に従って走る感じになる。朝夕は気をつけないといけない。晴れていれば登りは太陽の力で乗り越えられるはず」と濱根さん。