三和交通（八王子営業所＝八王子市元本郷町3）の溝口孝英代表取締役部長とタクシーで八王子の街を巡る「みぞ部長に会いたいツアー」が1月7日、始まった。

「みぞ部長に会いたいツアー」のキービジュアル

　横浜市港北区に本社を置き、タクシーやハイヤーサービスを提供している同社。これまでも「居酒屋タクシー」「心霊スポット巡礼ツアー」「サンワクロースタクシー」などさまざまなイベント企画を展開してきた。

　今回は「おじさんダンサー」をうたい、ショート動画サイト「TikTok（ティックトック）」にある同社の公式アカウント上で、さまざまなダンスを披露している溝口さんに注目。毎月第1日曜、1組限定で、八王子駅を出発地点、同社八王子営業所をゴール地点に八王子市内にある溝口さんのゆかりの地を巡るツアーを企画した。

　ゴール後は溝口さんとティックトックに投稿するための動画を3本まで撮影できる。撮影した動画は同社のティックトックアカウントに投稿されるほか、参加者自身のティックトックアカウントで投稿することもできる。

　八王子出身の溝口さん。人材募集をきっかけに、2019（平成31）年2月からティックトックにダンス動画を公開し始めた。「まだティックトックが始まって、1年たつかどうかというところだった。人材募集のためにユーチューブなどに取り組んだものの作るのが面倒くさくなり、その時、ティックトックのCMを見て『15秒というのは面白い』と思った。最初は個人で始めた。おじさんがやっているというイメージがなかったのか、『なんだあのおじさん』『ネクタイが短い』などとコメントが来るようになった。若い人が見ていると思い、社長に相談して公式としてやることになった」と話す。

　タレントやインフルエンサー、企業などとのコラボ動画も投稿しており、現在、同社の公式アカウントは約23万人がフォローしている。「ただのおじさんだが、街中で小中学生から声をかけられたり、買い物をしていると『みぞ』と呼びかけられたりすることがある。店で飲んでいる時に『タクシー会社の人だ』『役員の人だ』とこそこそ話しているのが聞こえると酔いがさめてしまう」と溝口さん。

　「最初は『こんな親父が踊って会社としてどうなんだ』と言われるのが怖かったが、ティックトック上のコメントはみんなやさしく、今までクレームもない」と溝口さん。目的だった若手人材の採用もできており、「新卒で来る人は動画を見てくれていることも多い」とも。

　今回は若い世代にもタクシーに興味を持ってもらいたいと企画した。「横浜や都内ではこれまでも独自のツアーがあったが、八王子独自のものは今までなく、作りたいと話題になった。そこで、社長が一言、『溝口さんに会えるツアーを作ろう』と言い出した。私としてはうれしさ2割、恥ずかしさ8割。会議の時はずっと下を向いていた」と溝口さん。

　「中学の頃からずっと行っている床屋さん、西八王子のサンドイッチ屋さんなど私のゆかりの地を巡り、営業所でいつも撮っているので、そこで一緒に踊って撮影する形にした。私ももう58歳。変わったり、なくなってしまった場所もあるが、昔からある場所は巡りたい。西八王子などよく遊んでいたところを見てもらい撮影を楽しんでもらえれば」と話す。

　「来ていただければ八王子の良いところを紹介できる。踊るときも全力で一緒に楽しく踊れれば。お子さん連れで参加してもらってもうれしい。動画は全世界の方が見られるので、一緒に出てもらうことで思い出にもなるのでは」とも。

　料金は1万5,000円。タクシー1台に付き3人まで参加できる。所要時間は約90分。参加には事前の申し込みが必要で、予約は希望日の2週間前から受け付ける。