大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」で展示されたアンドロイド3体が5月9日、「長谷工マンションミュージアム」(多摩市鶴牧3)に移設され、一般公開が始まった。
同施設は長谷工コーポレーション(港区)の研究・技術開発・研修を担う「長谷工テクニカルセンター」内にある企業博物館。同社の創立80周年記念事業の一つとして、2018(平成30)年に開業した。9つのエリアに分け、マンションに特化した展示を行っている。
同社は昨年行われた大阪・関西万博で、人型ロボットの研究を進める大阪大学の石黒浩教授がプロデュースした「いのちの未来」館にプラチナパートナーとして参加。同館の設計協力や施工なども手がけた。石黒教授と同社、細田工務店(杉並区)は共同プロジェクト「ivi project(アイビー・プロジェクト)」を展開しており、昨年、杉並区に2階建ての木造コンセプト住宅「ivi house (アイビーハウス)」を建てるなど協力関係にある。
今回はミュージアム内に「いのちの未来」に展示された子ども型アンドロイド「Asukaroid(アスカロイド)」2体と、1000年以上先の未来の「進化した人間」としてデザインされたアンドロイド「MOMO(モモ)」を移設した。
移設に当たっては石黒教授が社長を務め、アバター制作や生成AI(人工知能)を活用したサービス開発などを行っている「AVITA」(目黒区)が協力。2体が会話をするように「アスカロイド」を配置し、会話も万博を踏まえた内容にするなどオリジナルのコンテンツとして仕上げた。
4月30日に行われた内覧会には、長谷工コーポレーションの熊野聡社長、長谷工マンションミュージアムの江口均館長、石黒教授、2025年日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長らが出席した。大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も駆け付けた。
今回の展示物の移設について、江口館長は「当館は住まいの歴史を紹介するだけでなく、未来の暮らしを考える場として運営している。万博で提示された未来への問いや知見を継承し、より多くの皆さまに触れていただくことには大きな意義がある。アンドロイドは単なる技術展示ではなく、未来を想像するための装置。これからの社会のあり方を考えるきっかけとして、当館にふさわしい存在」と話す。
「アンドロイドを通して未来の住まいを自由に想像していただくことで、『人と技術の距離はどう変わるのか』『未来の暮らしはどのように豊かになるのか』といった問いが自然に生まれてくる。来館者が未来の生活文化について考え、対話を深める場になれば」と江口館長。
熊野社長は「『いのちの未来』館は予約がなかなか取れないほど大人気だった。今回、そちらに出演していたアンドロイドが東京・多摩地区に転勤してくることになった。このアンドロイドが表すように刻一刻と進化するテクノロジーとわれわれの作る住まいは、未来に向かってさらに深く関係していくものだと思っている。石黒先生がロボットを考えるに当たって、『人とは何か』を追求されているように、われわれも『住まいとは何か』を常に追求していきたい」と話す。
石毛事務総長は「アンドロイドたちが万博会場を離れ、新たな活躍の場を得たことはシグネチャーパビリオンを運営した博覧会協会としても喜びを感じる。万博は一過性のイベントではなく、未来社会の実験場。その成果を社会に還元することこそが万博の本質。万博のレガシーは万博の後にさらに磨かれ、より立派な物に作られていくといわれる。この場所で生まれた成果が広く語り継がれ、万博のレガシーとなっていくことを心から期待している」と話す。
石黒教授は「アスカロイドもモモも万博のために作ったオリジナルのアンドロイドで、パビリオンの大きなレガシーの一つだと思っている。このミュージアムで多くの方にご覧いただき、万博のレガシーを感じていただければ」と話す。「研究室では10年以上動いている物もあるので、部品交換などメンテナンスをしながら、15年から長ければ20年ぐらいは持つのではないか」とも。
開館時間は10時~17時。同施設の見学には事前予約が必要。5月22日までの平日10時~12時はアンドロイド関連展示エリアのみ事前予約不要で見学できる。土曜・日曜休館(第2・第4土曜日は開館)。